“社会起業家”は結果であって、目的ではない――ルワンダ発フェアトレード事業の内側:世界一周サムライバックパッカープロジェクト(4/4 ページ)
ルワンダでバナナ繊維事業のプロジェクトを行っていたり、フェアトレード事業「Ruise B」(ルイズビィ)に現地代表として関わっていたりする三戸優理さん。日本人女性が、ルワンダで働くことの難しさとやりがいについて尋ねた。
アフリカで働くにも専門性が大事
――今後の予定や将来の夢(目標)について教えてください。
今まで個人的にやってきた事業を本格化し、ビジネスとして持続性のあるものにするために会社を立ち上げました。
現在携わっているビジネスを継続性のあるものにするために、ルワンダ国内においても付加価値商品を販売していくこと。また、ルワンダでとれる潜在性がある素材(例えばバナナ繊維)を生かした新商品開発及び販売をしていくこと。ビジネスを通じて、さまざまな困難な状況にある女性や若者の自立支援につながることをやっていき、お互いがハッピーになれることをいろいろ実現したいです。
そのほか、地域資源を生かした地域経済発展につながる農業やツーリズムに関連するプロジェクトの企画、実施なども行っていきたいと思います。
――最後に、日本の若者にメッセージをお願いします。
自分の人生において、アフリカに住んで働くという機会があるとは夢にも思っていなかった私がこのルワンダに来て、ルワンダ人とともに一緒に楽しみながら汗を流して働いています。
こちらの人たちは、男女を問わず、笑顔が美しく、子供はとても純朴です。人々の笑顔に触れられるだけでも幸せを感じられます。
日本で働くにせよ、海外で働くにせよ、何か面白い、やりがいを感じられることを見つけることが自分の人生を豊かすることにつながるのではないかと思います。
そうした何かを見つけるのに、海外でボランティアをやってみたり、インターンシップをしてみたり、旅をしたりするのはいい方法ではないかと思います。私のところでもインターンは歓迎ですので、興味のある学生さんはぜひご連絡ください。
もし、アフリカで働いてみたいという希望があるのなら、来る前に何か専門性を身につけることをお勧めします。アフリカの国々は、援助に頼っているところがまだまだ多いですが、先進国から来た人たちには、足りない分野を強化するために、高度な知見や経験が求められることが多いです。
ですから、例えば、日本などで社会人としてそれなりに経験を積んでからの方が、アフリカに来てからできることがいろいろあると思いますし、それを自分で見つけ出して、現地の人と一緒に進めていくことができると思います。
アフリカは、まだ男尊女卑の傾向が強いので、若い女性はなかなか相手にしてもらえないという課題もありますが、専門性を持って、組織のできるだけ上の人と親しくなり、そういう人たちを味方に付けながら進めていく工夫も必要です。
ルワンダでの生活やこちらの活動状況については、ブログ「エコ・ファシリテーターの協働日記」で紹介しています。
“社会起業家”は結果であって、目的ではない
ハッキリ言うと、ルワンダは治安が良いといっても、まだまだ日本とは比較になりません。ですが、治安の良さは上昇中ですので、何年かすると、ひょっとすると、ひょっとするのかもしれません。
そんな国に主婦としてではなく、1人のキャリアウーマンとして飛び込んで、現地で次々とプロジェクトを立ち上げて遂行していく優理さんのパワフルさには脱帽です。
また、フェアトレード事業であるルイズビィには社会起業的側面もあります。でも、優理さんは自ら“社会起業”などとはひと言も発しませんでした。そういう流行のような感覚ではなく、優理さんにとっては、地元の人と一緒にできる当たり前のことを行っているだけなのだと感じました。
優理さんのような人に出会うといつも感じます。社会起業家というのは結果であって、目的ではないんだなと。プロセスであって、職業ではないんだなと。
どこの国でも、いつの時代であっても、誰かの本気と志が、社会を良くしているんだなと実感します。間違いなく、三戸優理さんもそのうちの1人だと僕は思います。
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