アップルVS. グーグル、“ハード+ソフト”の戦いの行方(2/2 ページ)
グーグルのホーム・エンターテインメント市場進出で、いよいよアップルとの一騎打ちなるか? アマゾンやFacebookも控え、戦々恐々とする米デジタル・エンターテインメント市場の行方やいかに?
アマゾンやFacebookを巻き込む戦いにも
業界情報筋の噂によれば、ホーム・エンターテインメント機器の中でもグーグルが初めにフォーカスを置くのはオーディオ機器であるらしい。つまり、グーグルのクラウド型ミュージック・サービスから、家庭のワイヤレス・ネットワークを通じてグーグル・ブランドのオーディオ機器に音楽をストリーミングする。スマートフォンやタブレットなどAndroid搭載の携帯端末がリモコンの役割を果たすとも言われているが、詳細はまだ定かではない。
これが、アップルの成功を模倣する試みであることは誰の目にも明らかだ。現在、グーグルとアップルはあらゆる市場でぶつかっている。2011年からグーグルが手を染め始めたデジタル・コンテンツ・サービス(ミュージック、映画、電子書籍)、そして先に触れたモトローラの買収により、スマートフォンの市場でもいずれは衝突することになる。もちろん、これらの分野においてはグーグルはまったくの新参者であり、今のところアップルに圧倒的な軍配があがっている。
「ソフト+ハード」のビジネス・モデルでアップルとグーグルの一騎打ち、ということになるが、不気味なのはアマゾンの存在だ。ハード面からいえば、アマゾンは2011年末のキンドル・ファイヤーのリリースによってデジタル・エンターテインメント・デバイスの市場に勢いよく討って出た。ソフト面では、電子書籍流通では押しも押されもせぬドミナント・プレイヤーであるキンドル・ストアを持ち、デジタル・ミュージックや動画など他のコンテンツ・サービスのプッシュにも余念がない。
テック(デジタル)ビジネスに聖域はない。誰もが隣人の縄張りに今日にでも踏み込んでいける世の中だ。第2四半期に上場を控えるFacebookも、生活者/インフラ/パートナーシップの3つの点から、デジタル・エンターテインメントの主要プレイヤーになれる潜在性を十分秘めている。米国デジタル・エンターテインメント業界は、今後、アップルとグーグルの一騎打ち、ならぬ三つ巴、四つ巴の戦場になっていくのだろうか。(石塚しのぶ)
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