コラム
東大数学、今なら解ける!?――ゆとり教育と詰め込み教育のせめぎあい(3/3 ページ)
先週末に行われた国公立大学の前期試験。東京大学の数学1問目では驚くほど、簡単な問題が出たことが話題となった。しかし、筆者は今後は理数系教育の強化で、難化していくのではないかと予測する。
新学習指導要領の導入で、今後は難化するかも
理数強化の新課程を受けて、各大学の選抜試験もすでに動こうとしています。東大は新課程初年度の2015年入試で、文系学部受験の際、センター試験では理科2科目必須、計5教科8科目※とすることを打ち出しました。
※5教科8科目……外国語、国語、数学IA、数学IIB、地歴公民から2科目、理科から2科目
東大情報サイト「UTaisaku-Web」にはこんな文章まで投稿されていました。
「近年、一部のアホな文系が科学に対する見識のなさをひけらかしているせいで、東大のお偉方も大層お怒りなのでしょう。2014年度入試まで文系はセンター理科は1科目だけ受験しておけば良かったのですが、これが全員2科目強制になります」
個人的な予測としては「今年度の東大数学の出題レベルが底、2015年度に向けて少しずつ難化するのではないか」と見ています。
先ほど、授業時間数の削減は1980年代から始まっていることをご紹介しました。この反作用が、2011年小学生、2012年中高生で始まる新課程に現れ始めているわけですから、教育の歴史を鑑みるに、今後少なくとも10年以上は「学校での学習内容を増やす」方向に動くことを物語っています。
そして、今の日本よりも難しい内容を早い段階で扱っている、韓国を初めとするアジア諸国に目をやったり、グローバル化の進展を考えたりするにつけ、「この流れは止まらない」と感じます。(寺西隆行)
※注……「ゆとり教育」は、文科省が提唱し始めた言葉ではありませんが、一般的に「そのように」理解されている教育の概念を指すものとして使わせていただきました。ご了承ください。
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