「うつろう」の美しさ:ちきりんの“社会派”で行こう!(2/2 ページ)
直線的に変化するイメージのある「変わる」より、ウロウロしながら変化するイメージのある「うつろう」の方が好きだというちきりんさん。「うつろう」という言葉には、どんな魅力があるのでしょうか。
年齢を重ねると、誰しもが変化する
また、若いころと年をとってからでは、「うつろう」ものへの受け止め方も違ってきます。直線的な「変わる」と、ウロウロしながら少しずつ前に進む「うつろう」を比べると、若い時は直線的な動きを効率的だと考えます。一方で、ウロウロすることは無駄ととらえられがちです。
「変わってしまった自分」に忸怩(じくじ)たる思いを抱いて後悔したり、変わってしまった何かに裏切りを感じたり、時には憎悪するのも若いころの特徴です。
ところが年をとると、移りゆくプロセス自体への肯定的な感情が出てきます。それは、一定の年齢になれば人は誰でも、人生の移り変わりを自身が体感するからです。変わりゆくこと自体が生きていくことだし、年を重ねることだと気が付くのです。
ちきりんは「うつろう」という概念が大好きで、「変わらない愛」より「変わってしまう愛」に、より大きな共感を感じます。不老不死より、生まれて、生きて、死にゆく人の一生を美しいと感じます。
どうしようもない自然の大きな動きに挑戦する人間の試みは、常にはかなく美しいものです。私たちの気持ち、そして人の一生は、変わるのではなくうつろいます。そしてその「うつろい」をこそ楽しみたい、と思います。
そんじゃーね。
著者プロフィール:ちきりん
兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。著書に『自分のアタマで考えよう』『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』がある。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN」。
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