お金を払うべき時、お金を稼ぐべき時:ちきりんの“社会派”で行こう!(2/2 ページ)
自分が成長したいと思った時や、好きなことをしたいと思った時。お金を“払う”べきか、“稼ぐ”べきか、しっかり考えておく必要があるとちきりんさんは説きます。
お金を払ってやるべきこと
ちきりんは学生時代から旅行好きでした。今もよく旅行をします。でも、就職人気ランキング上位のJTBを始め、旅行業界に就職したいと思ったことはありません。好きなことを職業にしてしまったら、つまらないだろうと思うからです。
旅行業につけば、「お客さまが望む旅行」を考え、作るのが仕事です。それは「自分がしたい旅行」とは必ずしも一致しないでしょう。
私が旅行会社に就職したら、自分の好きな旅行について、自分の好きなようにはできなくなるのです。それって結構うっとうしいですよね。
だから私にとって旅行は「お金を払って」やるべきことです。お金を払えば、自分の好きなように企画できます。興味のない場所に行く必要はないし、好きでないものを食べる必要もありません。「好きなことは金を払ってやれ、もらってやるな」ということです。
ちきりんは文章を書くのも好きです。だから、これを職業にしたいとも思いません。ライターで食べていこうと思えば、関心のない題材でもニーズが高ければ記事にする必要が出てくるし、媒体の担当者の意向にも気を遣う必要が出てきます。
アフィリエイトで生活しようと思ったら、アクセス数を維持するために“ウケること”を書かなくちゃいけなくなり、読んでもいない本を紹介しなくてはならなくなります。
いくばくかのお金のためにそんなことをして、文章を書くことが“つまらないこと”になってしまったら、あまりに馬鹿げています。いつまでも、自分がおもしろいと感じることだけを書いていたい。それをおもしろいと思ってくださる読者分だけのアクセスがあれば十分です。
……というわけで、「お金を稼ぐべき時にお金を払っていては、いくら払ってもモノになりませんよ」ということ。そして、「お金を払ってでもやるべきことでお金を稼いだら、つまらないことになりますよ」ということです。
払うべき時か、稼ぐべき時か、それをしっかり考えましょう。
そんじゃーね。
著者プロフィール:ちきりん
兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。著書に『自分のアタマで考えよう』『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』がある。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN」。
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