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コラム

株価が下がってもリニアを貫く、JR東海の事情杉山淳一の時事日想(4/4 ページ)

JR東海の中央新幹線計画(リニア)は、趣味的にも、経済的にも期待のプロジェクトだ。しかし、この計画を快く思っていない人々もいる。機関投資家だ。JR東海がリニアを語ると、彼らはため息を漏らし株を手放す。

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 次は2009年3月。この時は、リニア中央新幹線の概要が発表された。14−16両編成で4列シートとし、定員は1000人。1時間当たり片道10本程度の運行。だからもうかるんです、と言ったつもりなのだが、株価は下がった。このあとも、JR東海の株価は「持ち直すたびにリニアの話題で下落」という傾向となっている。

 実はその兆候は2006年から始まっていた。2006年は山梨のリニア実験線が10周年を迎え、今後はさらに投資すると発表した。この時は実験への投資で回収のめどが立たないから、株価が下がっても仕方ないとも言える。2007年には事業構想として東名間リニアは5兆円との資産を発表し、また株価を下げた。こうした投資家からのサインがあったにもかかわらず、JR東海は翌年に「自社建設」を発表したのである。

 「日本が今後、世界へ何を売っていくか」というテーマを、JR東海は見通している。なぜ、投資家はそこに賛同できないのか。JR東海のリニア計画には味方がいないのか。JR東海の株価が下がるたびに「日本の経済には本当に夢がないなあ」と思うのだ。


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