楽観主義が仕事を変える(3/3 ページ)
しばしば、ビジネスパーソンたちが口にする「仕事がツライ」という言葉。筆者は、この「仕事のツライ」に対して個人ができうる最大の処方せんは、楽観主義を持つことだという。
労役への引力に身を任せてはいけない、抵抗せよ
次図は、私たち1人1人が常に傾斜に立っていることを示したものです(ベルグソンの箴言を図化したものです)。
この世の中は、残念ながらと言いましょうか、思慮深きと言いましょうか、私たちに下向きの(精神的)引力を四六時中働かせています。言い換えれば、私たちは気を緩めれば、いつでも下に転がるような摂理の中に身を置いているのです。
この傾斜という負荷に対し、抵抗をやめることは基本的にラクです。しかし、そのラクの先に楽園はありません。逆に、私たちは「仕事」という傾斜を上っていく努力をする限り、何らかの成長や喜びを得ることができます(しかし、その努力の先に楽園が必ず待っているわけでもありません。これがこの世のトリッキーなところです。しかし、その傾斜を上ろうとする過程こそが幸福であると私は思っています)。
仕事という傾斜に対して抵抗をやめれば、そこには「労役」という別の世界が待ち受けています。この世界に入り込んでしまうと、本当にツライです。ネガティブ回路が増幅して脱出も難しくなります。
昨今、社会問題として大きく取り上げられるワーキングプアの問題などは、この労役の回路から抜け出せない人々の問題でもあります(これは個々人の意識・努力の要因だけでなく、社会制度の要因も考えねばなりません)。
その仕事を労役にしないために、そして現状の仕事をより良い仕事にするために、私たちは力強い意志的な楽観主義というものを持ちたい。
もちろんそれだけで、難しく入り組んだ個々の仕事問題が解決できるわけではないですが、楽観的意志を持つことがすべての始まりとなります。「労役への引力に身を任せてはいけない、抵抗せよ」と言いたいのです。(村山昇)
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