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将棋界に学ぶ、企業の人材育成(2/2 ページ)

将棋界では羽生善治二冠が一般には突出して有名だが、羽生二冠以外にもたくさんの個性的で才能あふれる棋士を輩出し続けている。その人材育成システムには企業も十分に学べることがある。

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 3つ目は、「研究会」と言われる勉強会が、多く存在していることである。

 棋士たちは、基本的には勝負の世界のライバル同士。勝つために、進化していく定跡や誰がどう指したという情報を仕入れ、研究を重ねた上で次回の対局に備える。本来であれば、いつか対局するかもしれない相手に手の内は見せたくないはず。そう考えれば、研究会など成立しないと思うのだが、実際にはかなり盛んに行われている。

 これは恐らく、目の前の勝ち負けより、「強くなる」ことを目的にしているからではないかと思う。自分の知識を隠したまま目の前の相手に勝利するよりも、研究会で披露してみんなにもんでもらい、切磋琢磨する方が、自分の将来にとって良いと考えているのではないかと想像する。

 会社は何も言っていないのに、何人かが集まって、テーマを持って勉強を続けている。仕事上の成功や失敗を共有して、そこから何か学ぼうとする人たちのグループがいくつもある。こんな会社があったらすばらしい。しかしながら現状では、会社が用意した研修を社員に無理やり受けさせているとか、上司に言われて初めてみんなで仕事上の経験を披露・共有するといった組織が圧倒的に多い。

 それは目的や向上心の差で、「勝負の世界と企業組織とは違う」と言われそうだが、そうは言わずに、自主的に学ぶ、インフォーマルなグループができてくるための仕掛けを検討してみてはどうかと思う。(川口雅裕)

 →川口雅裕氏のバックナンバー

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