ビジネスで使うと危ない(?)6つの英語の慣用句:ビジネス英語の歩き方(2/2 ページ)
日本語でも活用されることがある、英語の慣用句。しかし、ネイティブからすると、違和感を覚えるものもあるようです。今回はそんなビジネスで気軽に使うと危ない英語の慣用句を紹介します。
4. 「win-win」(ウィンウィン、ex.KOLON industries)
スティーブン・R.コヴィー氏が著書『7つの習慣』で、第4の習慣として「Win-Winを考える」と紹介したことで、多用されるようになりました。「両サイドの関係者が満足できる成果を出す」という意味です。
例えば、「The win-win is that I get to sell more books and you get to build a larger database」(私がもっと本を売って、君がより大きなデータベースを作ればWin-Winの状態となる)、「I want to be sure this is a win-win deal」(この商談がWin-Winであることに確信を持ちたい)」のように使われます。
この考え方は確かにすばらしいのですが、ここ数年使われ過ぎてしまったために、ありきたりなフレーズとなってしまいました。このように「お互いにとってプラスになる」ということを伝えたい場合は、「mutually beneficial」(両者にとって有益な)や「……so we both can reach our goals」(私たち両方がゴールを達成できるように)と言い換えれば良いでしょう。
5. 「a leader in ○○/a leading provider in ○○」(○○におけるリーダー/○○における大手事業者、ex.PLATTS)
「leader」(リーダー)とは、業界や流行の「けん引者」。しかし、自社のことを「業界のリーダー」「リーディングカンパニー」と言うことは、西洋のビジネスシーンでは使われ過ぎているので、誰の注目も集めません。コマーシャルやプレスリリース、会社プレゼンテーションで耳にするでしょうが、もはやジョークのように聞こえます。
自分たちが「leader」であると言いたい時は、具体例で示しましょう。例えば、「Our company has 17 products in this category, more than any other company in the world」(弊社では当分野において、世界中のどの企業より多い17の商品を有しています)と言ってもいいですし、「Product X is three times faster than our competitor's best product」(商品Xは、ライバル社の最高の商品より3倍早いです)などとも言えます。
6. 「at the End of the Day」(結局のところ)
このフレーズは、「ultimately」(最終的には)や「in the end」(結局)と同じことを意味します。現在、最も多く使われているクリシェの1つで、ビジネスパーソンや教師、スポーツ選手、政治家など多くの人たちがいまだに使っていますが、使われ過ぎている上に回りくどく聞こえます。
典型的な使用例としては、「At the end of the day, we still have no idea how the customers will like it」(結局のところ、顧客が気に入るかどうかはまだ見当も付かない)などがありますが、次のようにクリシェを使用しなくても表現できます。
「We still have no idea how the customers will like it」(顧客が気に入るかどうかはまだ見当もつかない)
どうでしょう? 具体的な意味をもたなかった6ワードを削ることで、ストレートに核心を表現できました。
生半可で使ってはダメ
今回はビジネス英語で多用されているものの、実は使用しない方が賢明な6つのクリシェを紹介しました。今まで「少しできる」と思って使用していたフレーズが当てはまったという人はいませんか?
特に米国人はクリシェを好むので、英語でビジネスを行う時、今回紹介したクリシェ以外も多く耳にすることでしょう。ただ、それぞれのクリシェについての微妙なニュアンスが分かっていない場合は、会話を理解するために意味を覚えておくに留め、実際のビジネスシーンでは使用しない方が良いでしょう。クリシェの代わりに、ご紹介したような言い換えのフレーズを使用した方が、あなたの英語力はアップするかもしれませんよ。
著者プロフィール:エリック・ジャクソン
ブリガム・ヤング大学卒(修士号:会計学 学士号:日本文学)。米国公認会計士。デロイト トウシュ トーマツ(LA:会計士事務所 / 監査法人)の日系企業サービスグループにて監査、経営陣のためのセールス・プレゼンテーションの作成に従事。現在、株式会社エイアンドピープルChief Technology Officer。主にアニュアルレポートなどの翻訳・制作に関わりながら、海外向けIRツールのコンサルティングも手がける。
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