今夏も企業の7割が節電、電力不足は全国的な課題に
エアコンなどの影響で電力消費量が大きく増加する夏。今夏は昨夏と違い、全国の企業が節電に取り組んでいるようだ。帝国データバンク調べ。
エアコンなどの影響で電力消費量が大きく増加する夏。福島第一原発事故のために原発の稼働が制限されている中、企業はどのような対策をしているのだろうか。
帝国データバンクの調査によると、全国の企業に今夏の節電実施状況について尋ねたところ、「実施する」は70.9%と、前年の72.7%より1.8ポイント低くなっていた。地域別にみると、東北(前年比11.2ポイント減)や南関東(同8.8ポイント減)では前年より低くなっていた一方、原発依存率の高かった近畿では前年より同5.0ポイント増となっていた。
電力不足は全国的な課題に
節電の内容では、「空調などの温度設定の見直し」が92.5%で断トツ。以下、「消費電力の少ない製品・設備の導入(LEDなど)」が38.0%、「稼働・営業時間の短縮」が11.0%、「夏季休暇の増加」が6.8%で続いた。前年と比較すると、「消費電力の少ない製品・設備の導入(LEDなど)」が6.1ポイント上昇していた。
ちなみに、節電を実施しない企業の理由では、「節電が不可能な設備・業態だから」(28.7%)と「自社の属する地域では電力不足は生じない」(28.1%)が上位。以下、「節電のメリットがない」が23.5%、「努力目標で強制力はないから」が13.5%、「節電による収益への悪影響を避けたい」が10.9%で続いた。
「自社の属する地域では電力不足は生じない」の割合は2011年調査では55.7%だったが、今回の調査では28.1%と激減しており、電力不足が全国的な課題となっていることがうかがえる。
インターネットによる調査で、対象は全国の企業1万589社。調査期間は6月19日と20日。
関連記事
- 計画停電があっても原発再稼働に反対する? 居住地によって違い
夏場の電力不足で、大飯原発3、4号機は再稼働する流れとなった。「計画停電が実施されようとも、原子力発電所の再稼働には反対である」と言う人は、東北地方や東海地方で特に高くなっているようだ。セルコホーム調べ。 - テレビを見ない節電対策、東京より大阪が多い
原発の稼働停止で、全国的に懸念されている電力不足。今夏の節電対策として、どのようなことが考えられているのだろうか。ジャストシステム調べ。 - 「早野黙れ」と言われたけど……科学者は原発事故にどう向き合うべきか
3月11日の東日本大震災にともない、発生した福島第一原発事故。日本科学未来館で行われたイベント「未来設計会議第2回『科学者に言いたいこと、ないですか?』」で、東京大学の早野龍五教授は、科学者の本分は「データの出典を示して、解析して、公開して、議論することである」という思いのもと、情報を発信し続けていると語った。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.