「インフルエンスの波」をつくった――数少ない成功事例:ソーシャルインフルエンス(3/3 ページ)
「自閉症」について知っている人は少ないが、どのようにすればこの発達障害を広めることができるのだろうか。子どもたちを支援するNPOは考えた末、Facebookを使うことにした。その結果……。
ソーシャルインフルエンスの実現
結果は大成功。「コミュニケーション・シャットダウン」は164カ国にわたって、実に600万人もの人々にリーチし、ドネーションは40カ国から集まった。まさに、ソーシャルインフルエンス(社会影響力)が発揮されたといえるだろう。「閉鎖」の1日が終わった翌日、世界中のFacebookやTwitterは、こんな書込みで溢れた。?Yesterday was a long day without you..but it made me realize what challenges the people with autism have. (あなたなしの昨日ほど長い1日はなかったけど、おかげで自閉症の人たちが抱える苦難が理解できたみたい)?
「ソーシャルメディアを使って、ソーシャルメディアを閉鎖する」という、コロンブスの卵ともいえるコアアイデアが秀逸なのは言うまでもない。加えて、ソーシャルメディア上のエバンジェリスト、著名人などのインフルエンサー、マスメディアを巻き込むインフルエンス連鎖設計、「ソーシャルメディア中毒障害」などの社会インサイトの活用など、アイデアを具現化する施策設計も大きな成功要因だっただろう。
(終わり)
著者プロフィール:
池田紀行
株式会社トライバルメディアハウス代表取締役社長。マイクロソフト、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン、Z会などのソーシャルメディアマーケティングを手掛ける。近著『キズナのマーケティング』(アスキー新書)。
本田哲也
ブルーカレント・ジャパン株式会社代表取締役。米フライシュマン・ヒラード上級副社長兼シニアパートナー。国内外の大手メーカーなどを中心に戦略PRの実績多数。近著『新版 戦略PR 空気をつくる。世論で売る。』(アスキー新書)。
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