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キッズ・ファミリー向けアニメが存在感、日本で一番価値のあるキャラクターは?:アニメビジネスの今(4/4 ページ)
特にキッズ・ファミリー向けアニメのビジネスを展開する上で欠かせないのが、アニメキャラクターを使ったビジネス。キャラクタービジネスの中で、アニメキャラクターを使ったビジネスはどのくらいの規模となっているのだろうか。
新しいキャラクターの息吹も
7月4〜6日に同じく東京ビッグサイトで開催されたのが第2回ライセンシング ジャパン。「世界中からあらゆるプロパティやコンテンツが一堂に集まる、本格的なライセンシング商談展」ということで、東京国際ブックフェア、電子出版 EXPO、クリエイターEXPO東京なども同じ会場で開催された。
東北新社のブースで展開していた「フィリックス・ザ・キャット」。1920年代前半からの人気キャラクターなので、歴史的に見ればミッキーマウス(1928年登場)の先輩。90年以上も働き続けている誠に勤勉な(?)キャラクターである
ビックリしたのが、併催のクリエイターEXPO東京。イラストレーターや画家、作家などがズラリとブースを出していたのが壮観だった。
ちなみにライセンシング ジャパンで表彰式があったLicensing of the Year 2012 in JAPANの受賞プロパティは以下の通り。グランプリこそ定番の「ワンピース」だったが、ニューフェイス賞に地方キャラクターの「くまモン」、選定委員特別賞に「魔法少女まどか☆マギカ」が入るなど、今後が楽しみなラインアップとなった。
Licensing of the Year 2012 in JAPAN
各部門 | プロパティ |
---|---|
グランプリ | 「ワンピース」(東映アニメーション) |
キャラクター・ライセンス賞 | 「こびとづかん」(チームこびとづかん) |
ブランド・ライセンス賞 | 「nanoblock(R) 」(カワダ / マスターマインド) |
ライセンシング・エージェンシー賞 | 「PEANUTS」(ソニー・クリエイティブプロダクツ) |
プロダクト・ライセンシー賞 | 「HOMESTAR R2-D2(セガトイズ) |
プロモーション・ライセンシー賞 | 「WALT DISNEY 110TH Anniversary OMOTESANDO HILLS Chistmas 2011」(森ビル) |
リテイル賞 | 「ユニクロ」(ユニクロ) |
ニューフェイス賞 | 「くまモン」(熊本県) |
選定委員特別賞 | 「魔法少女まどか☆マギカ」(アニプレックス) |
増田弘道(ますだ・ひろみち)
1954年生まれ。法政大学卒業後、音楽を始めとして、出版、アニメなど多岐に渡るコンテンツビジネスを経験。ビデオマーケット取締役、映画専門大学院大学専任教授、日本動画協会データベースワーキング座長。著書に『アニメビジネスがわかる』(NTT出版)、『もっとわかるアニメビジネス』(NTT出版)、『アニメ産業レポート』(編集・共同執筆、2009〜2011年、日本動画協会データーベースワーキング)などがある。
ブログ:「アニメビジネスがわかる」
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