不景気は関係ない? モノを扱う雑誌『MonoMax』が売れている理由:仕事をしたら“30代男性”が見えてきた(前編)(6/6 ページ)
「不況でモノがなかなか売れない」と言われているなかで、モノを扱っている雑誌が売れている。その雑誌名は『MonoMax』だ。販売部数を34カ月連続で伸ばし続けているが、その秘けつはどこにあるのか。柚木編集長に話を聞いた。
柚木:そこは難しいですね。こっそりとはあると思うのですが、そんなにガツガツはしていない。さりげなくモテたい、と思っている層が増えてきているのではないでしょうか。「女の子にガツガツいこうよ!」といった誌面にすれば、読者が限られてしまうかもしれません。
ただ身なりをきちんとしている人が多く、ライフスタイルを充実させれば、モテにつながるのではと思っているのではないでしょうか。全面に「モテたい」を出すのが、カッコイイとは思っていないと感じています。
例えば「この時計を買ったら、モテる」というのではなく、「この時計を買ったら、なんとなく楽しそうになりそう」といった感覚ですね。
雑誌では30代男性をターゲットにしていますが、彼らの姿を追いかけるのは本当に難しい。私も30代なのですが、服でいえば古着やストリート系などのブームを経験してきました。いろいろな流行を経験して、今にいたっています。
40代以上であれば、みんなが同じブームを経験していると思うのですが、30代は違う。個性がありすぎる、といった感じ。なので「30代男性はこういう世代」とは、なかなか言い切れないところがありますね。
雑誌づくりにおいては「30代男性はこういう人」というのではなく、共通項を集めるといった作業に近いですね。こういう趣向を持っている人が多いのでは、といった形で情報を集める。まだまだ手探り状態は続いているのですが、共通していることは「忙しい」「時間がない」ということですね。
土肥:なるほど。モノ系雑誌の編集長をしている柚木さんが、現在注目している商品などを紹介していただけますか?
柚木:分かりました。
土肥:では、つづきは後編で。
(つづく)
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