コラム
安倍首相の地元で見えた、アベノミクスの未来:窪田順生の時事日想(3/4 ページ)
参院選の前哨戦といわれる山口補選で自民新人の江島潔氏が圧勝した。今や圧倒的な支持率を誇る首相の地元で、「安倍の子分」なんて呼ばれる人が出て負けるわけがない。ただ地元経済に目を向けると、アベノミクスの未来が見えてくるのだ。
そんな調子なので、江島市政の評価は、身内の中でも割れている。公示の前夜、下関の繁華街・豊前田(ぶぜんだ)で自民党支持者らとしこたま飲んだ。その中の1人がこんなことをおっしゃっていた。
「地元の人間だったらもう江島なんかには入れたくないよ。でも今、安倍晋三に倒れてもらったら困る。みんなおいしい思いがしたい。要するに“勝ち馬”に乗りたいんだよ」
過去に「乗った人」というのはわりと分かりやすかった。公共事業をバンバン落札した神戸製鋼は安倍さんが政治家になる前に勤めていた会社だし、先ほどの不可解な落札をした三菱商事も、当時は兄・寛信さんが支社長を務めていた。
中小零細企業でも元気だったのは、安倍晋三さんを強力にプッシュしている“安倍系企業”と呼ばれる新興企業だった。例えば「安倍晋三後援会」の幹事長が経営していた、社員20名ほどの環境ベンチャーは、経産省やら山口県から数千万単位の助成金がおり、どういうわけか山口銀行から無担保・無保証でバンバン融資がおりていた。
そんなおいしい思いがしたい、という気持ちはよく分かるが、アベノミクス然り、どんなバブルも必ず最後にははじける。そうなると、“安倍系”の新興企業の末路はかなり悲惨なことになる。
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