コラム
記事を載せたメディアに責任はないのか? 繰り返す投資詐欺話:相場英雄の時事日想(3/3 ページ)
米金融業者MRIインターナショナルが顧客から集めた資金の大半を消失させた――。ずさんな運用が“お金を溶かした”典型例といえるが、このような怪しい投資話を記事にしたり、広告掲載を行ったメディアに責任はないのだろうか。
詐欺の片棒
MRIの資金消失問題が表面化して以降、インターネットで同社の名前で検索をかけると、一部の経済紙誌が同社の広告を掲載していたことを疑問視する声が個人ブログなどで批判されていた。また、著名人を“広告塔”として使用した会報などの話題もヒットした。先の私も出席した会見は、その先鞭だったと言える。
改めて指摘するまでもないが、メディアに記事が載ることで、商品を信用する個人投資家は少なくない。また経済誌などに広告が載れば、「クライアントの背後関係を精査した上で商品広告を掲載している」と判断する向きが多い。
幸いなことに、記者時代の私は“怪しい”という感覚に加え、周辺取材を経て掲載を見送った(私の退社後に古巣の通信社が扱ったか否かは不明)。
記者として感じた“怪しさ”や、周辺取材、あるいは広告査閲などの作業を経れば、大多数の投資家が多大な損失を被ることはなかったと断言するのは言い過ぎだろうか。
アベノミクスによって景気浮揚の雰囲気だけは漂っているが、広告の現場はいまだに冬の時代が継続中で、怪しいと承知で広告を掲載している向きが少なくない。また、企画記事などで一般の投資家を結果的に欺くような行為をしていなかったか。換言すれば、詐欺の片棒を担ぐようなことがなかったか、メディアは今一度足元をチェックする必要がある。
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