どんなネタに? 世界は金正恩を嗤っている:伊吹太歩の世界の歩き方(1/4 ページ)
「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた北朝鮮の金正恩第一書記に世界の注目が集まっている。ただし、格好の嘲笑のネタとして。
著者プロフィール:伊吹太歩
世界のカルチャーから政治、エンタメまで幅広く取材し、夕刊紙を中心に週刊誌や月刊誌などで活躍するライター。
最近、北朝鮮の金正恩第一書記に世界の注目が集まっている。先月、金正恩は米タイム誌の世界で最も影響力のある100人に選ばれた。バラク・オバマ米大統領や、ユニクロの柳井氏も名を連ねる中、彼らと同列に扱われたのだから大したものだ。
もっとも、核兵器を打ち込むと声を荒げて世界の大国を動揺させ、国民を大量に餓死させている「殺人行為」を考えれば当然だろう。
それだけではない。ロシアで恒例となっている5月1日(メーデー)の「反資本主義」行進にも、金正恩のポスターが登場した。レーニンやスターリン、リビアのムアマル・カダフィ大佐のポスターまで掲げられた行進に登場したことは、金正恩がその存在感を認められたということだろう。
先日、米国を訪れたときに会った米国人の反応からも、金正恩に対する関心が高まっていることが分かった。米本土も攻撃すると気勢を上げたからだろうが、ほとんどがネガティブなものだった。あちこちで「北朝鮮情勢は大丈夫なのか?」と聞かれ、「『若いキム』は大丈夫なのか」「まともな判断ができるのか」と質問された。
ただここ数日の外国の報道を見る限り、北朝鮮による最近の強硬な言動は、結局はこれまでと何ら変わらない常套手段の脅しに過ぎなかったということで落ち着いているようだ。特に、北朝鮮がこのタイミングで韓国系米国人を懲役刑にしたという事実で、一気にそんな空気が広がった。
過去にも同様のやり方で米国との交渉のきっかけにしたことからも、やはり援助などを引き出すことが最大の目的なのだというのが大方の見方だ。
関連記事
- 「カネのためなら何でもやる」――中国人がアフリカで嫌われている
尖閣問題など強気の中国だが、アフリカを中心に世界中からますます嫌われている。 - アルジェリア人質事件の裏にある民主化運動「アラブの春」
アルジェリアの天然ガスプラントが襲撃され、日本人技術者も犠牲となった。この事件の背景には民主化運動のもたらした北アフリカの現状がある。 - 米国 VS. 中国、サイバー戦争になったら勝つのはどっち?
ニューヨークタイムズ紙などの大手メディアをはじめ、アップル、ジープ、Facebookと続くハッキング攻撃。米国では、海外からの攻撃を受けたら宣戦布告なしに「先制攻撃」できると確認したというが……。 - サイバー戦争になれば確実に負ける日本
イスラエルとパレスチナのイスラム過激派ハマスの軍事衝突。実弾が飛び交っただけでなく、サイバー空間上での戦争も行われていた。そこに3番目の勢力が介入してきたのだが……。 - 「婚活」で韓国人男性が締め出されるわけ
評判が悪い韓国人男性の東南アジアでの「嫁探し」。韓国政府が規制強化に乗り出した。 - 「伊吹太歩の世界の歩き方」バックナンバー
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.