連載
どんなネタに? 世界は金正恩を嗤っている:伊吹太歩の世界の歩き方(2/4 ページ)
「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた北朝鮮の金正恩第一書記に世界の注目が集まっている。ただし、格好の嘲笑のネタとして。
思わず笑いが漏れる「キム・ジョンウン」
「相変わらず」な北朝鮮だが、世界的に金正恩の名が広く知らしめることには成功した。一方で、米国で北朝鮮情勢を心配していた知人らと話していても、「キム・ジョンウン」の名前が出ると、不思議と笑いが漏れた。彼の名が知名度を得ている背景には、北朝鮮の若き独裁者が、欧米では格好の嘲笑のネタになっていることがある。
現在では世界に金正恩のような分かりやすい(かつ笑える)独裁者は少なくなった。発言を笑い物にされたリビアのカダフィ大佐や、お約束ともいえる反米の過激発言を繰り返したベネズエラのウゴ・チャベス大統領(参考記事)は死んだ。閉鎖された国で、私腹を肥やした残忍なミャンマーのタンシュエ上級大将も、占い好きでやりたい放題に国を動かしているとからかわれたが、すでに表舞台を去っている。
もちろん独裁者だけでない。乱交や未成年との性交と、首相とは思えない性欲ぶりで話題を振りまいたイタリアのシリビオ・ベルルスコーニ元首相(参考記事)も今は政界の表舞台にはいない。
つまり世界的にキャラの立つ、そして笑いものにできる指導者はほとんど消えてしまっている。
かつてリビアのカダフィが死んだとき、政治風刺画の漫画家が「ネタになる人がいなくなるのはさみしい」という趣旨のコメントをしていた。不謹慎のような気もするし、さみしいというのは言い過ぎだが、それがメディア側の本音ではないだろうか。
関連記事
- 「カネのためなら何でもやる」――中国人がアフリカで嫌われている
尖閣問題など強気の中国だが、アフリカを中心に世界中からますます嫌われている。 - アルジェリア人質事件の裏にある民主化運動「アラブの春」
アルジェリアの天然ガスプラントが襲撃され、日本人技術者も犠牲となった。この事件の背景には民主化運動のもたらした北アフリカの現状がある。 - 米国 VS. 中国、サイバー戦争になったら勝つのはどっち?
ニューヨークタイムズ紙などの大手メディアをはじめ、アップル、ジープ、Facebookと続くハッキング攻撃。米国では、海外からの攻撃を受けたら宣戦布告なしに「先制攻撃」できると確認したというが……。 - サイバー戦争になれば確実に負ける日本
イスラエルとパレスチナのイスラム過激派ハマスの軍事衝突。実弾が飛び交っただけでなく、サイバー空間上での戦争も行われていた。そこに3番目の勢力が介入してきたのだが……。 - 「婚活」で韓国人男性が締め出されるわけ
評判が悪い韓国人男性の東南アジアでの「嫁探し」。韓国政府が規制強化に乗り出した。 - 「伊吹太歩の世界の歩き方」バックナンバー
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.