どんなネタに? 世界は金正恩を嗤っている:伊吹太歩の世界の歩き方(3/4 ページ)
「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた北朝鮮の金正恩第一書記に世界の注目が集まっている。ただし、格好の嘲笑のネタとして。
金正恩、どんな風にネタになっている?
では世界的に、金正恩はどんな風にネタになっているのか。
まず政治風刺画の世界では、すでに金は「駄々をこねる赤ん坊」として描かれるのが定着している。よく目にするのは、赤ん坊のように裸でおむつを付け、口にはおしゃぶり、手にはガラガラを持ち、残忍な発言をするというものだ。
欧米人からすれば、小太りの金正恩は子供にしか見えない。そんな見た目でとんでもなく危険な兵器をかざして脅迫をするのだから、そのギャップは絵になる。
今月初めには、ハッカー集団のアノニマスが北朝鮮にサイバー攻撃を仕掛け、西遊記の猪八戒の姿にコラージュされた金正恩の画像を北朝鮮のサイトにアップした。お腹にはミッキーマウスの顔が描かれ、完全にコケにされた金正恩の画像は世界中に広がった。
米コメディ番組「サタデーナイトライブ」では、コメディアン扮する金正恩が、最高人民会議でスピーチするコントが放送された。そこで偽物の金正恩が、「私はこれまでたくさんの女性と性的関係をもった……そのすべての女性が私に、初めて絶頂に至ったと言ったものだ……私の言うことを信じないなら強制労働収容所に放り込むぞ」と演説して、笑いを誘った。
新聞などの記事でも金正恩は見事にバカにされている。金正恩を形容する単語も、小バカにしたものばかりだ。例えば、「太っちょ」「いかれた反米独裁者」「奇怪な若い指導者」などだ。
著名な英国人ジャーナリストのジョン・キャンプファーは、「お子さまキムが、核の脅威の可能性しかない北朝鮮を率いている」と指摘。キャンプファーはキムをプロパガンダ的な妄想症で、もはや脅威ではない絶滅危惧種の「20世紀型独裁者」と呼ぶ(ちなみに21世紀型の独裁主義国は中国とロシアだ)。
2008年にオバマ大統領と大統領選を戦った共和党のジョン・マケイン上院議員も4月に、金正恩をバカにする発言をした。「こいつはピエロだ。父親と祖父と同じように、バカなやつだ」と語り、自分たちと同じような思考回路を持ち合わせないことは間違いないと付け加えた。
ニューヨーク・ポスト紙も手厳しい。米本土を狙うとした金正恩がカウンセリングをお願いすべき著名な米人精神科医をリストアップして、金正恩をコケにしている。そして「妄想の長距離ミサイル」で脅すなんて、1人の精神科医では治せないと書く。さらに軍人に囲まれて作戦計画書を見ているとされる写真には、「インチキ戦闘計画を見るキム」とキャプションを付けている。
欧米メディアは総じて、金正恩人について少しでも変わったニュースやコケにできるネタを探しているようだ。記事には決まって、大真面目にリーダー然としている金正恩の写真が使われる。
そうした写真を集めた、「物を見るキム(kim jong-un looking at things)」というWebサイトまで登場している。いつも視察しかしていないと金正恩を小馬鹿にしたサイトだが、そのサイトを紹介するニュース系サイトでは、写真を見る限りキムはいつも何かを見るだけで、それ以外は何もしていないと分析。あの髪型をみれば、床屋にすら行っていないだろうと皮肉っている。
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