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どんなネタに? 世界は金正恩を嗤っている:伊吹太歩の世界の歩き方(4/4 ページ)
「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた北朝鮮の金正恩第一書記に世界の注目が集まっている。ただし、格好の嘲笑のネタとして。
ナイジェリアで名誉市民となった金正恩
そんな風に世界から笑われている金正恩だが、なぜかアフリカのある国では絶賛されている。皮肉っているのではなく、大真面目にだ。その国とはナイジェリアだ。ナイジェリアで北朝鮮は、金日成の時代から北朝鮮の主体(チュチェ)思想を広める活動を行ってきた経緯がある。
実は冷戦時代、米国やソ連のどちら側にも付かない中立の国々として、北朝鮮はナイジェリアと関係を築き始めた。そこから関係は他のアフリカの国に広がり、アフリカには、チュチェ思想を学ぶ小規模な組織などが存在しているのだ。
金正恩は最近、ナイジェリアのダマトゥルシティという街から名誉市民の称号すら授けられた。ダマトゥルシティの市長はその理由をこう話している。「敵の力によるかつてない挑発と多方面の困難にも関わらず、繁栄している国家が強い勇気と根気で勝利するという目標に向けて舵取りをしている」
直近では、ロンドンのビッグベンやパリのエッフェル塔など、世界の観光名所にある建物のミニチュアを展示する公園を作ると報じられた北朝鮮だが、そんなカネがあるなら、極貧で餓死しかけている国民にいくらか提供すべきだと叩かれている。国連は先月、北朝鮮で280万人が食料不足に苦しみ、国内の4分の1の子供が、慢性的な栄養失調にあると公表したばかりだ。
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