安倍首相は痛みを伴う改革を断行できるのか:藤田正美の時事日想(2/2 ページ)
英エコノミスト誌の最新号表紙は、スーパーマンに模した安倍首相が空を飛んでいるものだ。官僚の「天敵」たる規制緩和を実行できるのか。
安倍首相が持っている「弱さ」
英エコノミスト誌の最新号(参照リンク)は、久々に日本の首相だ。スーパーマンに模した安倍首相が空を飛んでいる表紙。「鳥? 飛行機? いや……日本だ!」というのがカバーワードである。安倍首相の両脇に戦闘機が2機飛んでいるのが、外国のメディアが持っているイメージということになるだろうか。
この記事にはもちろん北朝鮮のことは触れていない。しかし一部で安倍首相が持っている「弱さ」を指摘している。もし2013年の景気で第2四半期の数字が悪かったら、安倍首相は2014年に予定されている消費税の増税を見送ってしまうのではないかというのだ。
要するに安倍政権は、痛みを伴う改革には熱心ではないという印象が持たれてしまうのかもしれない。その試金石は6月に出される、中期財政フレームと成長戦略だ。とりわけ財政フレームでは、どれだけのタイムスケージュールで取り組むのか、どうやってそれを実現していくのかが必要である。単なる20年度にプライマリーバランスを黒字にするというような「目標」だけでは足るまい。
もう一つ。安倍首相が本当に日本を改革するというのであれば、それは間違いなく、経済における規制改革だと思う。なぜなら規制改革によって日本の企業の強さが試されるからである。ところが、規制改革は日本の、というより世界的にも官僚の「天敵」だ。規制の多さや許認可の多さが、該当部署の存在価値そのものだからだ。
その官僚が民主党政権時代の不遇の時代に営々と勉強してきたことが成長戦略にも盛り込まれるのだろうが、そこには「規制改革」はほんのおざなりに入っているだけにすぎない恐れも大きい。安倍首相が、あるいは諮問機関がそこを突破する気があるのかないのか、その答はもうすぐ分かる。
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