偽装は食品だけではない! “中国産ニセED薬”には鉄粉やインクが混ざっている:窪田順生の時事日想(3/3 ページ)
中国でネズミやキツネの肉を「羊肉」と偽って販売した業者が摘発された。日本にもたくさんの偽造食品が流入しているので、用心している人も多いはず。しかし警戒しなければいけないのは食品だけではない。実は「薬」の世界でも大変なことが起きているのだ。
きちんとしたメッセージを送る
だが、こんなしょうもない偽造薬に引っかかる日本人にも問題がある。ファイザーやバイエル製薬、日本新薬、日本イーライリリーの4社が合同に行った調査によると、ネットでED治療薬を購入したことがある人の87.7%が、「自分の購入した薬は本物」だと信じている。平和ボケここに極まるという感じだ。
いくら怪しげなネットの輸入代行業者とはいえ、客を殺したら元も子もないんだから、そんなにヤバい品は扱っていないだろうとたかをくくっているのだろうが、あちらにそういう発想はない。先のネズミ肉を羊肉だと偽装した業者は、中国メディアの取材にしれっとこんな調子で答えている。
「普通に羊肉を出したら利益がほとんどでない。ネズミ肉にすると儲けが大きい」
要するに、自分が食べていくためには多少のウソはしょうがないというわけだ。だが、こういう発想がまかりとおる社会の本当の恐ろしさは偽造食品や偽造薬ではない。ウソに対してツッコミがないと、調子にのってウソがどんどんエスカレートし、自分でも何がホントか分からなくなってしまうことだ。
5月26日、李克強首相が訪問先のドイツ・ポツダムで、「日本は盗んだ領土返還をしなくてはいけない」とか言い出したのは、典型的な例だろう。
彼らの性格からいって、「大きな偽装」を指摘しても逆ギレされるだけだ。そこで手始めに日本に山ほど流れ込んでいる「中国産偽造ED薬」からツッコミを入れる。ダマされないのはもちろんきっちり摘発もする。
中国人がよしとする「食べていくためのウソ」は日本人には通用しない――。そんなメッセージをちゃんと送ってやることこそが、本当の日中友好ではないか。
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