奨学金を利用する前に――最低限知っておくべき3つの注意点とは?(1/2 ページ)
大学の数が増え進学率が上がる一方で、進学にかかる経済的負担が家計に大きくのしかかり、中には奨学金に頼らざるを得ない人たちもいるのが現状です。ただ、奨学金の利用については注意すべき点があります。最低限おさえておきたい3つの注意点を紹介します。
著者プロフィール:
長尾真一 Life Design Concierge 代表
メーカー・商社の海外営業を経て、ファイナンシャルプランナーに転身。個人のライフプラン・住宅ローン・相続等の相談、生命保険・損害保険の取り扱い、中小企業の確定拠出年金導入サポートのほか、これまでに中四国地方の高校等で、大学進学資金やキャリアプランの講演を100回以上実施。「かけがえのない一度きりの人生に、未来への安心を届けたい。」という理念のもとに「生活設計のコンシェルジュ」として活動しています。
新年度になると日本学生支援機構の予約採用の募集があるため、毎年、春には高校などで奨学金の講演をする機会が増えます。大学等進学者に対する日本学生支援機構の奨学金の貸与人員枠は毎年拡充されており、今年度は約144万3000人(前年比:8万8000人増)の採用が予定されています。
大学の数が増え進学率が上がる一方で、日本経済は長く停滞し進学にかかる経済的負担が家計に大きくのしかかり、奨学金に頼らざるを得ないのが現状です。
しかし、奨学金の利用に当たっては注意が必要な点がいくつかあります。これまでの講演や進学資金相談の経験から、最低限3つの代表的な注意点を挙げてみます。
申し込めば誰でも利用できるわけではない
まず1つ目。奨学金とは、申し込めば誰でも利用できるわけではないということです。各奨学金には採用条件と採用枠(定員)が決められています。採用条件を満たしていなければ利用できませんし、仮に条件を満たしていても採用枠に対して申込者の数が多ければ、採用してもらえない可能性もあります。
日本学生支援機構の奨学金の場合を見てみます。高校在籍中に申し込む「予約採用」と、大学等に進学してから申し込む「在学採用」がありますが、「進学してからでも申し込めるから」と予約採用ではなく在学採用で申し込んで採用してもらえなかった場合は、代わりとなる奨学金を見つけることはかなり難しくなります。進学を考えているのであれば、やはり予約採用で申し込んでおいた方が安心でしょう。
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