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なぜ統一球が飛び出したのか? 問われるNPBの隠ぺい体質:臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(2/3 ページ)
組織ぐるみのウソが発覚し、日本球界が大騒ぎだ。日本野球機構(NPB)が統一球の仕様を変更しただけでなく、「変えていない」と言い張っていたことが発覚したのだ。
NPBは「変えていない、厳格に適用しただけ」と言い張った
NPBの言い分は、昨シーズンの抜き打ち検査で反発係数の下限を下回る統一球が数多くあったため「ミズノ側に数値を守るように指示し、新しく作り変えさせた」というもの。下田事務局長も「あくまでも統一球の範囲内に合わせようとしただけの話。統一球以前のボールに比べれば、飛んでいないし問題はない」と答えている。
だが、某球団関係者は反論する。「反発係数が上げられたことで今季の統一球の飛距離は昨季より約2メートルも伸びている。たとえ微調整であったとしても、NPBにはわれわれ現場やファンへの報告義務があったはずで、問題がないわけがない」
さらに在京球団の主力投手は「ピッチャーにとって、ボールの変更は死活問題」と目を吊り上げ「現場への大きな弊害」について、こう打ち明けた。
「選手たちは昨シーズンの『飛ばない統一球』をベースに今シーズンの契約条件をまとめている。ボクだって『飛ばない』ことを前提に球団側と被本塁打数の出来高払い(インセンティブ)の契約を結んでいるんです。それが急に開幕してから『飛ぶ』となれば、ちゃぶ台をひっくり返されたようなもの。生活がかかっているのに……。NPBはボクらをナメているとしか思えない」
至極当然の怒りである。一体なぜ、NPBは統一球の仕様変更を隠ぺいしていたのか。
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