アップルやマクドナルドは、本当に“悪の帝国”なのか?:小飼弾×松井博、どこへ行く? 帝国化していく企業(1)(4/5 ページ)
弱体化する国家を尻目に、国境を気にせず自らの利益を追い求める“企業帝国”たち。世界が一握りのお金持ちと圧倒的多数の単純労働者に分かれていくなかで、人々が幸せになる方法はあるのか。小飼弾さんと松井博さんが語り合った。
僕たちはぜいたくに去勢されている
小飼:昔の貿易は基本的に王侯貴族が使う胡椒(こしょう)などの貴重品か、武器かだったんです。ところがいまが昔と違うところは、生活必需品や準生活必需品をがっちり帝国が握ってるところでしょうね。
松井:グーグルはいろんな人の個人情報を把握することによって、僕たちはたくさんのサービスを無料で使うことができる。「こんなにいいサービスを使えるんだったら、オレの情報なんて持っていってもいいよ」と思う人も多いのではないでしょうか。
小飼:そうそう。大したものじゃないし(笑)。ある意味、僕らはぜいたくに去勢されてるんです。
松井:だから去勢されてまあいいや、って割り切るなら、結構いい世の中じゃないかって感じですよね。
小飼:それが嫌だったら独立すればいいわけです。 営業妨害くらいはされるかもしれないですが、少なくとも軍隊を送りつけられることはないですよね。米国や日本ではありえないし、ほかの国でもそういったことはなくなりつつある。
ネットが発達してよかったこと
松井:もう1つ、帝国の問題点として、企業にとって都合の悪い法律はつくられないというのがあります。食肉をつくっている帝国のせいでO−157が増えて人が死んでいても、規制に必要な法律ができそうになるとロビー活動でつぶされてしまう。
小飼:ただし、以前よりはそういう動きも察知されやすくなったし、簡単にはいかなくなっています。けっこう大きかったのは、報道の本当の自由化ですね。
松井:ネットの発達がよかったのはそこですよね。これまではメディアから流れなかった情報が、Twitterなどでバーンと広まったりするようになった。すると従来のメディアも追従するようになる。一番情報が早いのはTwitterで、報道は後追いだったりします。
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