先進国にとっての労働は「暇つぶし」なのか:小飼弾×松井博、どこへ行く? 帝国化していく企業(3)(2/4 ページ)
モノ余りの時代、必要とされるサービスは先進国ではほぼ提供されている。人々は何のために「働く」のか。労働の意味とは何か。一方でまだ残る貧困をどう解決していけるのか。
小飼:国連のみなさんは「イナゴを食べましょう」と言っていますよね。
松井:タンパク質の生成プロセスを考えたら、虫が一番効率がいいんですよ。
小飼:地球上にいる鶏の数ってご存じですか? いろいろな統計があるのですが、一番少ない数字で110億羽、多い数字で250億羽。日本だけで常時3億5000万羽の鶏がいるんです。
では先進国の人間しか肉を食べてはいけないのかといったら、そんなことはありません。ちゃんと試算した上で「チキンがあるから食糧問題は大丈夫」って言えるんですよ。先進国ではすでに、とんでもない量のバイオマスを支配している。人類をひとまとめに考えるとどう考えてもデブるしかない(笑)。
地球には、食べ切れないほどの食べ物がある。それでもなぜ足りていないのかというと、分配がうまくいってないから。
松井:個人的な意見ですが、食料は足りていると思っています。では、エネルギーはどう思います?
小飼:足りています。風力と太陽光だけでも十分ですよ。
松井:しかしエネルギーの消費量ってどんどん増えているじゃないですか。追いつくことはできるのでしょうか?
小飼:地球も大きいけれど、太陽というのはもっと大きくて、足りない理由はないんですよ。では、なぜいま石油を掘っているのかというと、理由は単純で安いからなんです。そういった意味では十分な努力をしていないだけなんですね。長期的に見れば風力や太陽光なら枯渇の心配はありません。このことについて、僕は何度も試算しました。
地球の人口は予想よりも増えていない。なぜ人が増えなくなったかというと、多くの人がお金持ちになったからなんです。実はそれが、どんな産児制限よりも効くんですよ。産児制限って、結局は上からの押しつけ。上からの押しつけはダメですが、子どもを産んで育てるよりも、楽で面白い生き方があるってことに気がついちゃうと、多くの人は産まなくなる。子どもを生むよりも仕事のほうが面白いということになると、日本みたいに少子化が進むんですよね。
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