「キャリアアップ」のために会社を辞める若手社員の本音とは:サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(2/3 ページ)
「このままこの会社にいても成長できると思えないから、辞めます」……こんな言葉を聞いたことはないでしょうか。若手社会人は「お金のために働かない」のはどうやら本当らしい。それでは何のために働くのでしょうか?
「現状が不満だから転職する」その先に透けて見えるもの
若手社会人が与えられている仕事に不満を感じるのにはシンプルな理由があります。そのひとつが「友達格差」です。
数年前、若手社会人向けのキャリアアップサイトのプロデュースをしていたときに聞き取り調査した際にも「学生時代の同級生と会うと、自分のやっている仕事との差を感じて焦る」と答える人たちがたくさんいました。当時よりもソーシャルネットワークサービスが充実している現在です。友人たちの「充実した」仕事ぶりがシェアされてくると、このままではいけない、焦らないと、今の職場じゃダメだと思ってしまうのも無理はなさそうです。
ただ、以前、人事部に対して行ったアンケート調査では、「一人前(=一人で業務が完結できる状態)になるまで何年かかりますか?」という項目の答えは、業種によってまちまちだという結果が出ていました。平均すると3年前後(まさに「石の上にも三年」ということわざを証明したことになり、驚きました)だったのですが、ある業種では1年程度で一人前になって欲しいと回答、逆に6年くらいかかると答えている業種もありました。
考えてみれば当然のことですが、環境によって成長のスピードは異なります。しかし、働いている本人たちはそれに気がつかない。社外の友人たちはドンドン仕事を任されている(ように見える)。けれども自分はそうではないし、周囲を見渡してみても当たり前ですが成長のスピードは職場なり、です。だからといって「比べても仕方ない」と説得するのは無理な話。企業としては若手に対して「焦るな」というのではなく「焦る気持ちを利用して成長させる仕組み」を提供すべきなのですが、それはどうやら難しいようです(この問題は深いので、後日別稿で論じます)。ただ、難しいようだと焦っていては危ないというデータもあります。
日本の若手社会人が重視しているのは「お金」ではない!
リクルートワークス研究所が先日発表したある調査の結果を見ていると、日本の若手社会人の「他の国の人たちとは違っている」ところがくっきりと見えてきます。「Global Career Survey(20代、30代の大卒者入・転職実態調査、参照リンク)」では、中国、韓国、インド、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、日本のアジア8カ国の若手社会人を調査し、入・転職の実態を明らかにしているもの。この中に「卒業後の初めての仕事を退職した理由」について聞いた項目がありました。まさに、今回のコラムのテーマです。下の表を見てください。
日本と韓国以外のすべての国は「賃金への不満」をトップに挙げています。その韓国にしても2位。他国では賃金への不満に次いで多かった「労働条件や勤務地への不満」が日本の退職理由のトップ。そして、日本は賃金への不満は退職理由のベスト5にも入らないのです。他の国ではトップ2に入らなかった「仕事内容への不満」が、日本では退職理由の2位として浮上します。
これを見て「いや、多くの国はこれから発展する国だからでは?」という疑問がわく人もいるでしょう。この調査では、同時比較するために米国・ブラジル・ドイツ・ロシア・オーストラリアでもアンケートを行っていて、それらの国の結果を見てみても、ほとんどが「賃金への不満」がトップ、「仕事内容への不満」が、退職理由の上位にくることはありません。
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