参院選後を読む、安倍首相は救国の指導者となるか:藤田正美の時事日想(1/4 ページ)
7月の参議院選挙は自公圧勝に終わるだろう。同時に民主党は、国民から野党としてさえも信認されないだろう。選挙後の日本はどこへ向かうのか。
著者プロフィール:藤田正美
「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”」
7月21日に投開票される参議院選挙。投票率は50%を切るかもしれないが、結果はほぼ間違いなく政権与党である自公の圧勝だと思う。非改選議席と合わせて参議院でも多数派となるだろう。
民主党は、これもほぼ間違いなく2012年暮れの衆議院選挙、2013年6月の東京都議会選挙に続いて大敗する。東京選挙区で鈴木寛氏一本に絞ったというところに民主党の厳しさが集約されている。有権者が自公に積極的に信認を与えるわけではないとしても、民主党にもう一度任せることはおろか、民主党を野党としても信認しないというのが大方の有権者の姿勢であるようだ。民主党をここまで追い込んだのは、責任の重い順にいうと、鳩山元首相、菅元首相、小沢元代表、野田元首相、輿石参議院議員会長といった面々だろうか。
国民は自民党の利権体質を忘れていない
有権者にしてみれば、自民党を完全には信認できない。なぜなら日本がいま抱えているさまざまな問題の根っこは、自民党の古臭い利権体質にあったことがはっきりしているからだ。1000兆円、GDPの2倍という超巨額の借金国家になったのは、誰のせいだったのか。1991年にバブルが弾けて以来、ただただ国家予算を公共事業などに注ぎ込んできたかつての政府の責任ではなかったか。
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