参院選後を読む、安倍首相は救国の指導者となるか:藤田正美の時事日想(2/4 ページ)
7月の参議院選挙は自公圧勝に終わるだろう。同時に民主党は、国民から野党としてさえも信認されないだろう。選挙後の日本はどこへ向かうのか。
この状態の日本で政権を取ったことの重みを感じるのは、これからだ。すでに異次元の金融緩和はある意味で限界に来ている。その証拠が長期金利の「乱高下」だろう。つまり市場は、安倍政権がこの巨大な借金の山をどうするつもりなのかを気にしている。もし安倍政権が本気でこの赤字に対処するつもりがないということになれば、市場の「期待」は一気に「不安」に変わるということだ。
不安が蔓延するきっかけは何だろうか。いちばん重大なきっかけになり得るのは中国経済の動向だろう。中国の成長率は下がることはあっても、上がることはない。7%台の成長率の維持すら危ういかもしれない。しかも成長率の低下で、先週のこのコラムで書いたように、銀行システムの裏で回っていたカネが滞るかもしれない(参考記事)。そうなれば金融不安が発生し、国有企業も資金繰りに窮するかもしれない。そこにカネを注ぎ込めば、一時は生き残ったとしても「ゾンビ企業」になるだけだ。
景気が回復しなくても消費税は引き上がる
中国という外的要因だけではなく、われわれは「内なる敵」も抱えている。さしあたっては消費税引き上げと社会保障改革という「痛み」を伴う政策である。特に消費税引き上げは、安倍首相の支持率が大幅に下がろうとも、やらなければならない。景気が回復していないという言い訳は通用しない。なぜなら来年春の景気回復が見通せないならば、それはアベノミクスの失敗を意味するからである。つまり、金融緩和と財政出動による「期待への働きかけ」で矢が尽きて、それ以上の具体策は持ち合わせていないということになるからである。
消費税が10%に引き上げられた段階(つまり2015年秋以降)で、国税収入は約10兆円程度増える。基礎的財政収支の赤字が23兆円ぐらいだから、これだけでは半分も埋まらない。しかも社会保障関連費は毎年1兆円以上純増する。医療費、介護費、年金などである。
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