江戸時代から続く、“隠されていると見たくなる”商法とは?:窪田順生の時事日想(2/3 ページ)
紙パック飲料の飲み口を開くと、マンガ「テルマエ・ロマエ」が無料で読める――。これは明治とエンターブレインが展開しているキャンペーンだが、「隠されていると見たくなる」商法というのは、かなり古くから行われている。その商法とは……。
性的なモノの「規制」は裏目に出る!?
当時の性風俗などを描いた「春画」は初期と後期で大きな変化があった。最初は、そのものズバリのセックス描写で、一糸まとわぬ男女がかなり生々しく絡み合う構図が多かったのが、後期になってくると、スッポンポンではなく、着物がはだけていたり、つい立てでさえぎられたりと「隠す」ことを意識した構図へと変わっていくのだ。
壇蜜にも通じる「日本的エロス」のルーツをここにみることができるが、このような発想の転換には実は「規制」が関係している。
1722年に享保の改革で、人情本なども含めた「好色本の禁止」が行われ、ストレートなエロはけしからんとなったので、規制を逃れるため、間接的に性描写をおこなう「危絵」(あぶなえ)というジャンルが生まれるのだ。
このことからも分かるように、性的なモノの「規制」というのはだいたい裏目に出て、単に新しいエロのジャンルを生むだけだ。ところが、自民党がその「規制」をやるとか言い出した。
児童ポルノ禁止法を改正し、ゆくゆくはアニメやマンガも対象も含めるなんて話がある。
幼児を性的に扱うような作品は断じて許すべきではないが、最大の問題は「ポルノ」の定義があいまいで、例えば『ドラえもん』の“しずかちゃん”の入浴シーンですら危ないのでは、という憶測まで飛んで、やいやいのと議論が白熱しているのだ。
賛成派のロジックの1つには、「幼女に手をかけるロリコンは、だいたい有害図書に囲まれて生活していて、それが欲望を誘発している」というのがあるが、この手の事件を追いかけてきた人間からすると、一概にもそうとは言えない。
例えば、9歳の少女を誘拐して9年2カ月間監禁していた男の部屋に入ったことがあるが、そこには「児童ポルノ」などなく、むしろ彼はそれらを穢(けが)れたものとして、忌み嫌っていたほどだ(関連記事)。つまり、アニメやマンガとこの手の犯罪の因果関係はかなりビミョーなのだ。
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