企業は若手社員に「我慢すること」「実行力」を求めはじめている:サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(1/4 ページ)
前回、若手社員が「成長したい」と言って会社を辞める現象についての記事の中で、「彼らが仕事で重視しているのはお金ではない」と書きました。彼らが求めるものと、企業側が若手に求めるものとは深刻にズレているようです。それは……。
連載「就活・転職のフシギ発見!」とは?
就活や転職、若年層を中心としたキャリアについて、仕事柄仕方なく詳しくなったサカタカツミが、その現場で起きている「当事者たちが気付いていないフシギ」について、誰にでもスルッと理解できるように解説するコラム。
使えない部下が毎年出現するのはなぜなのか? その理由も、垣間見えるはずです。
著者プロフィール:サカタカツミ
クリエイティブディレクター。1967年生まれ。長年、就職や転職、キャリアに関するサービスのプロデュースやブレーンを務めている関係で、就活や転職には詳しい。直近でプロデュースしたサイトは「CodeIQ」。著書に『こんなことは誰でも知っている! 会社のオキテ』、『就職のオキテ』がある。
個人的に書いている就活生向けのブログは、なぜか採用担当者たちから「読んでいて心が痛くなります。ホントにつらいです」という評価を受けている。Twitterアカウントは@KatsumiSakata。
退職理由「成長したいから」は、今の職場を離れるための方便だった
「以前から『成長したいから』『キャリアアップのため』といって会社を辞める人に会うたびに、『今の会社ではなぜ成長できないと思うの?』と不思議でした。研修もあるし、部署異動があれば違う会社のように思えるでしょうし、今の会社にいても成長したり、環境を変えたりできるはず。そもそもその環境が不満なら、愚痴を言う前に、自分が周りをより良く変えていこうと思う方が前向きじゃないですか。それなのになぜ?」と、編集長の吉岡綾乃さんから質問され、お返事の代わりに書いたのが、先週の記事「『キャリアアップ』のために会社を辞める若手社員の本音とは」でした。
リクルートワークス研究所が、中国、韓国、インド、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、日本のアジア8カ国の若手社会人の入・転職の実態を明らかにした調査を見ると、日本以外のすべての国で若手社会人が仕事をする上でもっとも重要視している「高い賃金・充実した福利厚生」や「明確なキャリアパス」を、日本の若手社会人は重要視していないこと。日本の若手社会人が仕事で最重要視する項目は「良好な職場の人間関係」や「自分の希望する仕事内容」であることに注目し、キャリアアップという言葉はある種の隠れみのであって、実際は「自分のやりたい仕事ができない」職場を「人間関係の軋轢を生まないようにそっと離れる」ための方便になっている可能性が大きいと指摘しました。
この記事への反応を見ていると「結局、就活の時点で『やりたいことは何ですか?』と聞きすぎているから、それができないと分かると今の職場を辞めるということではないのか」という指摘をしている人がいました。私も実は同じようなことを考えていました。それは、独立行政法人労働政策研究・研修機構が先日発表した「構造変化の中での企業経営と人材のあり方に関する調査」(参照リンク、PDF)という調査の速報からクッキリと浮かび上がってきます。
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