企業は若手社員に「我慢すること」「実行力」を求めはじめている:サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(3/4 ページ)
前回、若手社員が「成長したい」と言って会社を辞める現象についての記事の中で、「彼らが仕事で重視しているのはお金ではない」と書きました。彼らが求めるものと、企業側が若手に求めるものとは深刻にズレているようです。それは……。
最近、企業が求めるようになっているのは「ストレスコントロール力」
さらにこのデータの興味深いことは、これまでと今後を比較して、著しくスコアアップしている能力があることです。それが「ストレスコントロール力」でした。いままではそれほど求めていなかったけど、今後は従業員にはストレスをコントロールする力を必要とするということは、何を指しているのでしょうか。「自分が希望する働き方を大切にしたいという若手社会人の思いを、企業は配慮しないし、今後も重要視しない。そして、職場における良好な人間関係は大事だが、今後は優先順位を下げる。だから、ストレスがたまる職場になる可能性が高いので、それをコントロールする力を身につけてほしいと思っている」……これはデータから推測される悲観的なシナリオにすぎませんが、当たらずとも遠からず、かもしれません。
結果には原因がある、辞めるには理由がある。ただそれだけのこと
若手社会人たちを中心とした「成長したい」「キャリアアップしたい」というありふれた転職理由の裏には、複雑な心理と表に出せない本音が隠れているのでしょう。実際、転職したいという若手社会人に話を聞くと、結局は「今の職場では何もできない」という、閉塞感からの脱却を意識している人たちが多いという感覚が私にもあります。就活の時点でなりたい自分について、エントリーシートや面接などを通して、企業はずいぶん深く掘り下げさせています。しかし、働きはじめたらそれは関係ない、大切なことではないと、約束が反故されたような状態になってしまう。
こんなことを書いていると「成長すれば自分のやりたいことができるようになる。それまで辛抱するべきだし、自らの能力が備わってからやりたいことを主張すべきなのにおかしい!」という声が聞こえてきそうです。だとしたら、企業は個人に対してやりたいことを執拗(しつよう)に聞くことは避けなければならないでしょう。最後にこのデータを見てみましょう。
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