なぜ「グローバル」と聞いて、不安を感じるのか:仕事をしたら“なんちゃってグローバル君”がいた(2)(2/6 ページ)
「グローバル」という言葉をメディアで目にしない日はない。変化のスピードが速い時代に、私たちはどのように対応すればいいのだろうか。海外で活躍してきた、田村耕太郎氏に話を聞いた。
日本を“知る”意味でも、海外に出よ
土肥:巷にはこのような情報が溢れていますよね。「グローバルな競争が激化している。海外市場を取り込まなければ、日本の未来はない」と。ここ数年、同じようなことを見聞きしてるので、私なんかはすっかり“グローバル疲れ”しちゃいました(苦笑)。
また「グローバル」を語る際に、ネガティブな内容が多くありませんか。まるで恐怖感をあおるように「この競争に負ければ、仕事はなくなるよ」といった感じで。そんな情報ばかり聞いていたら、「外向き」ではなく「内向き」な若者が増えても仕方がないと思うんですね。
新入社員に海外で働きたいですか? と聞いたところ「働きたくない」という人が増えているんですよ。2001年に行った調査で「働きたくない」と答えたのは29.2%だったのに、2010年には49.0%。もう2人に1人が内向き。一方で「どんな国・地域でも働きたい」(2001年17.3%→2010年27.0%)と答えた人が増えているので、海外志向の強弱がハッキリしているようです(産業能率大学のグローバル意識調査)。
田村さんは著書の中でも「海外に出よ」と強調されていますが、こうした現状についてどう思われますか?
田村:アフリカで生まれた人類は、10万年かけて南米の最南端まで行きました。そう考えると、私たちの先祖は非常にリスクを好んでいたんですよ。アフリカを出発して欧州に、そしてアジアを越えて、日本にたどり着いた。アフリカから日本に来た……そう考えるだけで、私たちは先天的に「リスクテイカー」と呼んでもいいのではないでしょうか。
では、なぜ人類はアフリカを離れ、他の大陸に向かったのか。それは「エサ」の問題があったから。自分たちが住んでいるところにエサがなくなったので、歩いてエサを探し始めました。その後、農耕や牧畜を覚えて、世界に広まっていきました。本来、エサのあるところに行くことが、人間の姿なのかもしれません。そう考えると、グローバル化というのは、人間にとってごくごく当たり前のことなんですよ。「グローバル化に対応している人はスゴい」といったことを聞くことがありますが、そうだとは思いません。自分の強みを生かせるところで勝負して、エサを手にする――ただそれだけのことなんですよね。
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