日本人は気にしないAやTheが英語を支配する:ビジネス英語の歩き方(1/5 ページ)
aやtheのような冠詞、英語では「article」といいます。どうにも日本語訳にはニュアンスに違いがあるようです。英語ネイティブな人たちは、aやtheに何を期待しているのでしょうか?
「ビジネス英語の歩き方」とは?
英語番組や英会話スクール、ネットを通じた英会話学習など、現代日本には英語を学ぶ手段が数多く存在しています。しかし、単語や文法などは覚えられても、その背景にある文化的側面については、なかなか理解しにくいもの。この連載では、米国で11年間、英語出版に携わり、NYタイムズベストセラーも何冊か生み出し、現在は外資系コンサルティング会社で日本企業のグローバル化を推進する筆者が、ビジネスシーンに関わる英語のニュアンスについて解説していきます。
トロント・ブルージェイズの川崎宗則が、地元トロントで大人気です(参考記事)。日本のスポーツニュースでも取り上げられますが、MLBのテレビ局にわが物顔で登場します。“川崎イングリッシュ”はかなりブロークンですが、そんなことは大した問題ではありません。それを逆手に取ってメモ帳を堂々と読み上げ、それが人気を呼ぶという大胆さです。
どんなに正しい英語でも、ぼそぼそやっていたのでは役に立ちません。間違いなどは何のその、大きい声ではっきりいう。相手を飲み込んでしまうことが大事で、空気をコントロールしてしまえばこっちのものです。アニマル浜口ではないですが「気合い」ですね、何事も。
「冠詞」と「article」、ニュアンスが違う?
もうひとつ、英語ではっきりものを言うために大事なのは冠詞です。前回は、単数か複数かということに英語は非常に敏感ですよ、という地味な話を書きました。もう一度だけ地味な話を書かなくてはなりません。冠詞問題です。
まず日本人の英語問題のほとんどは、冠詞とか、分詞とか、命令形といった、おそらくは明治期、もしくは江戸末期にできた英語文法用語から始まっています。冠詞は英語では、articleと言います。定冠詞、つまりtheは、definite article。どうも英語のニュアンスと日本語訳が合っていない感じがします。
しかし、そもそも英語を生まれたときから使っている、いわゆるネイティブの人たちはどう思っているのでしょうか? theやaに何を期待しているのでしょうか?
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