ニュース
Suica利用履歴販売、JR東は「個人情報に当たらない」との見解:ビッグデータとプライバシー(2/2 ページ)
7月1日から、JR東日本が日立製作所にSuicaの利用履歴を販売していたことが、「個人情報を無断で販売した」「気持ち悪い」と問題になっている。JR東はどのようなスタンスなのか、取材した。
本当に個人を特定できないと言えるのか
今回の報道に対する反応を見ていると、事前の許可を取っていないことを批判する以上に多いのが「(よく分からないけど)気持ち悪い」「個人を特定されそう」という拒否反応だ。JR東日本の見解では「匿名化されており、個人情報ではない」となっているものの、本当に個人を特定できないデータと言えるのだろうか?
例えば、利用者が少ない駅で頻繁に乗り降りしていたり、定期券を持っていたりすれば、性別と年齢が分かれば個人を特定できる可能性は高い。また、1回限りのきっぷとは違い、Suicaは継続的な乗降履歴を持っている。たとえ氏名は書いていなくても、特定の個人を識別できるかもしれない。個人情報保護法に定める「個人情報」ではなくても、プライバシーの保護という観点から考えると、保護されるべきパーソナルデータと判断される可能性は高い。
「気持ち悪い」と感じた場合、ユーザーにできることは?
JR東日本では、今後、日立以外の企業に対してもデータの提供を行っていく可能性があるという。自分のICカードのデータを販売されたくないと考えるユーザーにできることは、紙のきっぷを使う、PASMOなど相互利用が可能な他社のICカードを使う(PASMOのデータが将来販売されない保証はないが)くらいしかなさそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
エキナカ自販機の売上が、伸びている理由(前編)
自販機市場が低迷する中、売り上げを伸ばしている会社がある。そのひとつが「東日本ウォータービジネス」社だ。同社はエキナカに自販機を展開しているが、どのようにして売り上げを増やしていったのか。そのナゾに迫った。
エキナカ自販機の売上が、伸びている理由(後編)
エキナカ自販機を展開し、順調に売り上げを伸ばしているJR東日本ウォータービジネス。その要因のひとつに、POSデータを分析して“お客の顔”が見えたことにある。後編ではミネラルウオーターがどのような人に買われているのか、といった点に迫ってみた。
日立、Suicaビッグデータから駅利用状況を分析するサービス
日立製作所は、JR東日本の発行する交通系ICカード「Suica」の履歴情報を利用して駅の利用状況や特徴を分析、マーケティングに役立てるビッグデータ解析サービスを開始する。- やさしく読む「個人情報保護法」(1):「個人情報」とは何でしょうか
消費税アップでどうなる? 鉄道運賃「1円刻み制度」を試算した
5月に入って「鉄道会社が運賃の1円刻み制度を検討、ただしIC乗車券に限り」と報道され、5月8日のJR東日本社長が定例会見で前向きに検討していると表明した。2014年4月の消費税改訂で、増税分を適切に転嫁するためだという。運賃はどう変わるのか、試算してみた。
相互利用の進展で、電子マネーの主役は“交通系”になるか
Suica、PASMOの利用件数が増えている。JR東日本の交通乗車券として始まったSuicaは、当初使える場所が駅の中に限られていた。しかしPASMOとの相互利用により使える場所が増え、使い勝手が格段に向上してきたのだ。
