楽天・田中将大の「10倍返し」――常に意識するのは『超向上心』:臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(3/4 ページ)
プロ野球史上3人目となる開幕15連勝を果たした楽天・田中将大投手。「全試合で全球種を完ぺきに投げ分ける」と高い評価を得ている今季のマー君に何があったのか?
ヤンキースなどメジャー5球団に動き
田中はもともとメジャー志向が強い。だからこそ昨オフは3年総額12億円の契約を交わしながら、毎年オフに契約を見直せる条項を入れた。早ければ今季終了後にもポスティングシステム(入札制度)でメジャー挑戦する可能性が高く、本人もそれを否定してない。今春のWBCは、そんな自分をメジャーのスカウトにアピールする格好の舞台だった。
ところが「何もできないまま終わってしまった」ことで、そのうっ憤をレギュラーシーズンのマウンドで晴らす気持ちを固めたのだ。Vロードをまい進するチームのためであるのはもちろんだが、今季は不完全燃焼に終わったWBCでの失態を払拭してメジャー側からの評価を得るための戦いでもある。
そんな己の「超向上心」がもたらした破竹の開幕15連勝。メジャー側は田中の快投をどう見ているのか。あるメジャー球団で極東地区担当スカウトを務める人物は「あれだけの成績とピッチングの内容を見せつけられれば、文句をつけられない」と評し、こう続けた。
「潤沢な資金を誇るヤンキースがタナカの獲得に向け、すでに動き出している。クロダ(黒田博樹)やイチローからの推薦も受け、キャッシュマンGMがタナカ獲得のプロジェクトチームを結成。水面下でさまざまな情報収集を行っている。それから同じア・リーグ東地区のブルージェイズ。この球団は一昨年のオフ、ダルビッシュの入札の際に5170万ドル(約51億円)で落札したレンジャーズに200万ドル弱(2億円弱)の差で負けた苦い経験がある。もともと資金力のある球団だけに、ダルビッシュに並ぶ実力を持つタナカに照準を定め『今度こそ取る』と意欲を燃やしている。最終的には私が所属している球団を含め合計5球団ぐらいが、タナカの入札に参加することになるのではないか」
まだ8月だというのに海の向こうでは早くも田中の争奪戦がぼっ発しそうな雲行きである。いずれにしても開幕15連勝を飾ったことで、田中のWBCでのマイナスイメージは吹き飛んでしまったようだ。
関連記事
- 糸井は本当に「メジャー志望」が強くてトレードされたのか?
2013年シーズンのキャンプイン直前に日ハムとオリックスの間で決まった大型トレード。日ハムの中心選手、糸井の電撃移籍の背景には何があったのか? - ダルビッシュが目指す「史上最強」の投手像
来季はさらなる躍進が期待できそうだ。レンジャーズ・ダルビッシュ有投手のことである。彼の1年目を米メディアはどのように見ているのか? - 青木宣親、屈辱のトライアウトからはい上がったメジャーリーガー
日本人メジャーリーガーとして、イチローに次ぐ200安打を達成しそうなのがブルワーズの青木だ。エリートの地位を捨て、夢を追い海を渡ったオトコがいた。 - ゼロより下、マイナスからでもはい上がりたい――川崎宗則の愚直な生き方
「伏兵」と思われていた男が着実に存在感を増している。地元紙が「カワサキさん、ごめんなさい」という見出しをつけて“謝罪記事”を掲載するほどまでだ。その生きざまをふり返る。 - 「臼北信行のスポーツ裏ネタ通信」バックナンバー
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.