楽天・田中将大の「10倍返し」――常に意識するのは『超向上心』:臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(4/4 ページ)
プロ野球史上3人目となる開幕15連勝を果たした楽天・田中将大投手。「全試合で全球種を完ぺきに投げ分ける」と高い評価を得ている今季のマー君に何があったのか?
三木谷オーナーはマー君の「商品価値」を認めている
とはいえ、ここで気になるのは楽天が田中のメジャー移籍を容認するかどうかである。普通に考えれば、楽天が球団ナンバーワンの人気者で大黒柱のエースを手放すなど、ナンセンスのような気もするが……。
「いや、それはもう問題ないですよ。楽天はすでに田中のメジャー移籍を容認しているからこそ、毎オフごとに契約を見直せるシステムにしたのです。『球団経営はビジネス』と常に言い続けている三木谷浩史オーナーのツルの一声で、ゴーサインが出されているんですよ。メジャー移籍願望が強い田中をチームに残留させて飼い殺しにしても本人のモチベーションは下がる一方。そうなれば逆に他の選手に対し、悪影響を与えることにもなりかねない。それならば、できる限り高い金額でメジャーに田中を買ってもらい、それを球団の新たな軍資金にしたほうがいい。基本的にはダルビッシュを放出した日本ハムと同じ考えです」(球界関係者)
連勝記録と最多勝、チームのリーグ初優勝を置き土産に海を渡れば田中にとってはベストだろう。もちろん、それは楽天側にとっても同じ。田中の「商品価値」が大きく上がるからだ。「ダルビッシュほどではないにしても、タナカは3000万ドル(約30億円)ぐらいで落札されるのではないか」との見方もある。
ちなみに2年ごとに条件の見直しが行われる入札制度については現在、日本野球機構(NPB)とメジャーリーグ機構の間で継続協議中だが、複数のNPB関係者によれば「遅くとも9月中にもまとまる見込み」という。こちらについても特に問題はなく、田中も楽天もホッと一安心できそうだ。
「超向上心」を念頭に夢のメジャーへ突き進む田中と、そのエースをとにかく高値で売りたい球団。両者の思惑通りに事が進むかどうかは、年内にも判明する。
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