蒸気機関車はどうやって動くの? 夏休みの自由研究は「鉄道」で:杉山淳一の時事日想(3/5 ページ)
夏休みの宿題といえば自由研究。たっぷりある時間を利用して、興味の対象を深く知る良いチャンスだ。もし、まだテーマが決まっていないなら、身近な鉄道をテーマにしていかがだろうか。
自由研究のテーマを提案
鉄道と国語:駅にある「ことば」を集めてみよう
あらためて眺めると、駅には言葉がたくさんある。駅名標、行き先表示、ホームの案内、きっぷ売り場、案内所、トイレは改札の外にあります、などなど。そんな言葉をたくさん集めて、その意味や役割について調べてみよう。トイレなどは言葉ではなくマークの場合もあるから、それは図画工作のテーマになるかもしれない。
低学年なら読めない漢字を挙げて調べてもいいし、高学年なら駅の略図を描いて、同じ意味の言葉がどの場所にあるか探してもいい。案内表示が本当に役立っているのか、間違いやすくはないのか、いろいろ考えてみると面白い。お客さん向けの言葉だけではなく、信号機の名前など鉄道員向けの言葉もある。仕事の邪魔にならないころに、駅員さんに尋ねてみよう。中学生なら、駅の英語表記に注目してもいいかもしれない。
鉄道と算数:この路線に車両はいくつ必要かな
駅には電車が何本もやってくる。3分置きなら1時間に20本の列車が発着する。では、その路線に必要な列車の車両数(編成数)は20本だろうか。違うはずだ。同じ電車が何回もやってくる。まずは電車に付いている番号を調べてみよう。起点から終点までの距離が短い路線なら、1時間のうちに、同じ番号の電車が何回か通るはずだ。
低学年なら車両の番号を控えて数えてみる。この「車両の番号を調べる」は、英語で「トレインスポッティング」という。鉄道趣味の原点だ。まだ個人用カメラがない時代、鉄道ファンはひたすら列車の絵を書き、あるいは番号をノートに書き留めて、その車両の「どこに傷がある」とか「今日から車体のペンキを塗り替えた」などと発見して楽しんだ。
高学年なら、路線の距離、所要時間、運行間隔を元に、その路線の時刻表を再現するなら、いったい何本の編成があれば足りるかを計算で求めてみよう。中学生なら一次方程式が作れる……かな。おじさんは数字に弱いので、ぜひ確かめてみて。
関連記事
- 鉄道ファンは悩ましい存在……鉄道会社がそう感じるワケ
SL、ブルートレイン、鉄道オタク現象など、いくつかの成長期を経て鉄道趣味は安定期に入った。しかしコミックやアニメと違い、鉄道ファンは鉄道会社にとって悩ましい存在だ。その理由は……。 - 「青春18きっぷ」が存続している理由
鉄道ファンでなくても「青春18きっぷ」を利用したことがある人は多いはず。今年で30周年を迎えるこのきっぷ、なぜここまで存続したのだろうか。その理由に迫った。 - なぜ新幹線は飛行機に“勝てた”のか
鉄道の未来は厳しい。人口減で需要が減少するなか、格安航空会社が台頭してきた。かつて経験したことがない競争に対し、鉄道会社はどのような手を打つべきなのか。鉄道事情に詳しい、共同通信の大塚記者と時事日想で連載をしている杉山氏が語り合った。 - JR東日本は三陸から“名誉ある撤退”を
被災地では、いまだがれきが山積みのままだ。現在、がれきをトラックで運び出しているが、何台のトラックが必要になってくるのだろうか。効率を考えれば、鉄道の出番となるのだが……。 - あなたの街からバスが消える日
バスは鉄道と並んで、地域の重要な移動手段だ。特にバスは鉄道より低コストで柔軟に運用できるため、公共交通の最終防衛線ともいえる。しかし、そのバス事業も安泰ではないようだ。 - なぜ「必要悪」の踏切が存在するのか――ここにも本音と建前が
秩父鉄道の踏切で自転車に乗った小学生が電車と接触して亡くなった。4年前にもこの踏切で小学生が亡くなっている。なぜ事故は防げなかったのか。踏切に関する政策を転換し、「安全な踏切」を開発する必要がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.