「世の中の役に立ちたい」気持ちが強すぎる若手社会人が陥りやすいワナとは?:サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(3/3 ページ)
「今やっている仕事が世の中の役に立っていると思えない。人の役に立つ仕事がしたい」そう熱望するあまり会社を辞めてしまう若手社会人は少なくありません。やる気があり、当事者意識を持って仕事に取り組める人材だからこそのジレンマとは……。
世の中においてスポットライトが当たるのは、ほんのわずかな部分だけです。多くの部分には別に光が当たることはない。世の中の役に立っている話の多くは(特にイマドキの若手と呼ばれる年齢層においては)仕組みを作る側に注目が集まります。世の中に役に立っている彼らの多くは、自分たちの活動を広めて、さらに世の中の役に立とうとしますから、積極的に講演を開いたり、イベントを催したりして、さらに光が強く当たりだします。その光に吸い寄せられるようにして「そうだ、人の役に立ちたいと私は思っている」と、キャリアについて悩んでいる中で自覚した人たちが集まる……変な表現でお叱りを受けそうですが、その光のまぶしさにクラクラしてしまって、のぼせてしまうタイプの人がいる、という話です。
人の役に立ちたいとシンプルに考えるなら、目の前の人の役に立てばいいわけです。世の中の人の役に立ちたいと考えるなら、既存の仕組みに乗って、先ほどの架空の例に従えば、ゴミを拾う人になればいい。しかし、それでは「当事者意識」が保てない。自分でやったという感覚もない。本当にやりたいことは人の役に立つということではなくて、自分がしっかりと当事者意識を持って、主催者サイドとして、そう「本部テントの中の人」として、世の中の役に立ちたいと、冒頭の転職相談を繰り返していた彼は考えていたのです。
今週のコラム、何が悪いという話ではありません。ただ、価値観は人それぞれ、喜びを感じるポイントもまちまち。仕事には当事者意識を持って取り組んでくれる人を企業は欲しがります。逆に仕組みに乗るだけの人を嫌がりますから。ただ、だからこそのジレンマが起きていることも、今後は見逃せなくなるだろうなぁと、注目しているところなのです。
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