年金分割が始まっても、熟年離婚が増えなかった理由とは?(1/2 ページ)
3組に1組の夫婦が離婚する時代。特に30、40年と連れ添った熟年の夫婦が離婚するとなると、問題は山積です。長年の蓄積を清算するのは大変ですが、実際、どうしたら良いのでしょうか? 今回は「離婚時の年金分割制度」について紹介します。
著者プロフィール:
露木幸彦
露木行政書士事務所 代表
1980年生まれ。国学院大学法学部出身。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。離婚に特化し行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7000件、離婚協議書作成900件を達成した。サイト「離婚サポート.net」の会員数は2万人、1日あたりの訪問者数は3300と、業界では最大規模にまで成長。
「情報格差の解消」に熱心で、積極的にメディアに登場。新聞では読売や朝日、毎日、日経など各社、雑誌は『アエラ』『女性セブン』『週刊エコノミスト』など。テレビ朝日「スーパーJチャンネル」、TBS「世界のこわ〜い女たち」などに取り上げられるなどメディア実績多数。また心理学や交渉術、法律に関する著書を数多く出版し、累計部数は5万部を超え、根強い人気がある。
保有資格:行政書士、ファイナンシャルプランナー
離婚時の年金分割制度 勘違いしやすい3つのポイント
1.すべて対象という誤解
年金で勘違いしやすいポイントは3つあります。まず1つめは、年金のすべてが対象という誤解です。離婚年金分割の対象は厚生年金と共済年金のみで、国民年金や企業年金、年金保険は対象外です。
これは婚姻期間中に納めた厚生年金と、共済年金の最大2分の1を分割する制度で、按分割合は自由に決めることができます。通常、年金は妻より夫のほうが多いので、夫が納めた年金を妻に分割しますが、男女平等なので、妻のほうが多ければ夫に分割するケースもあります。これは、夫婦が共働きの場合、夫が怪我や病気、リストラなどで失業中の場合などがそうです。また別居期間中の年金も対象となる一方、独身時代の年金は対象外です。
この制度が画期的なのは、離婚時に手続をすれば65歳の年金受給時に何もしなくても分割した年金が「国から振り込まれてくること」です(ただし裁定請求は必要)。これまでは、元夫が自主的に元妻に振り込まなければならず、あまり現実的ではなく年金はあきらめるしかなかったのです。
相談者によくあるのは、年金分割は熟年離婚の場合しか利用できないという誤解。実際は婚姻期間に関係なく利用可能です。もちろん、年金の納付期間が短ければメリットは少ないが財産がまったくないケースでは「やらないよりマシ」なので、年齢に関係なく勧めた方が良いということです。
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