オリンピックの開催国で「デモ」や「暴動」が増える理由:窪田順生の時事日想(2/3 ページ)
2020年の夏季五輪が東京に決定した。ほとんどのメディアがこのニュースを“お祭り”ごとのように報じているが、光のあるところには必ず影ができる。五輪の恩恵を受けられない人たちの不満が、祭りの前に爆発するかもしれない。
恩恵に授かれない人々
光のあるところには必ず影ができるように、こういう「国家的祭典」をすすめようとすると、必ずその恩恵に授かれない人々が生まれる。そして、彼らの不満は往々にして、“祭り”の前に爆発する。
例えば、前回のロンドン五輪では開催1年前、英国全土で「チャヴ」と呼ばれる無職の若者たちが中心となった暴動が続発した。店舗を襲ったり、火をつけたりして逮捕された2000人以上の若者のなかには、翌年に控えたオリンピックのボランティアもいたという。
その前の北京五輪や、そのまた前のアテネでも似たようなことが起きている。北京五輪の4カ月前、チベット自治区ラサ市で起きた暴動は、当初は国際社会が注目していることを逆手にとった平和的なデモだったが、鎮圧をしようという中国側との衝突でたくさんの死者が出た。この結果、世界中で「フリーチベット」の横断幕を持って、聖火リレーに乱入する事件が続発したのは、ご記憶にあるのではないか。
アテネ五輪でも直前に、いたるところで労働組合がワーワーと賃上げのストライキを行っていた。メインスタジアムの完成がギリギリまで食い込んだり、宿泊施設が工事中だったりというのはこれが理由だ。
こういう“副作用”を熟知している人たちは、そこをうまく利用する。
その代表が、韓国だ。IOC総会前に日本の水産物輸入禁止を発表したのは、ハナから輸入していない栃木や群馬も含めていることからも、「東京」へのネガキャンだというのはバレバレだ。
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