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会社を成長させたければ節税するな!:社長のための「非常識な会計」のルール(2/3 ページ)
経営者の人たちに、あえて言わなければならないこと――。それは「本当に儲けたければ税金から逃げるな」ということです。職業柄、こういうことを言うのは本当に心苦しいですが、節税なんて、本当のところは何もいいことはないのです。
節税は内部留保を妨害する
ところで、節税したいときとはどういうときですか? 会社が好調なときじゃないでしょうか? 会社に利益があって、節税したくなるのですよね。こういう状態のときに会社に何が起こっているかというと、「資産」が増える傾向にあるはずです。
例えば、販売が好調であればもっとたくさん売ろうと思って仕入を増やします。これに伴って在庫も増えていきます。もちろん、毎月の売上高が増えれば、自動的に売上債権も増えていきます。場合によっては店舗を増やすための設備投資をしたり、製造業だったら増産体制を築くために工場を拡張したりしますね。とにかく、自然な流れとして「資産」は増えてしまうはずです。
ここで貸借対照表を思い出してください。簡単におさらいすると、貸借対照表には資本の調達源泉として「負債」と「純資産」があり、その資本の運用形態として「資産」が表示されています。そして、この運用と調達は、合計額が一致するのです。つまり、この貸借対照表の仕組みから言えることは、「資産」が増えるためには「負債」もしくは「純資産」によって資本を調達しなければならないということです。
それで、問題となるのは事業の成長拡大に伴う「資産」の増加を、どのような資本調達でまかなうかということです。「資産」が1億円増えたとすれば、同じ1億円だけ「負債」か「純資産」によって資本調達をしなければならないというのが、貸借対照表の掟です。
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