日本人も要注意、集団レイプ判決から見るインドの闇:伊吹太歩の時事日想(2/4 ページ)
最近、インドで発生する集団暴行事件のニュースを日本メディアも取り上げるようになった。事件の背景を追ってみると、根強く残る女性差別が浮き彫りになる。
2013年7月に公表された調査によれば、下院議員543人のうち30%に当たる162人が何らかの刑事事件の容疑者または被告人になっていることが判明した。しかも10人に1人以上がレイプや殺人の容疑をかけられている。さらに州政府でも4032人中1258人の議員が犯罪の疑いを掛けられている。
こんな人たちに女性の生命と安全を守る政策が実現できるのか。インドの主要英字新聞のある女性記者は「誰も議員なんて信用していない」と言い切る。
女性の人権を無視した裁判の多くが明らかに
それでもインドのイメージが地に落ちるほど悪くなったのだから、刑法の厳格化くらいしないと観光客が寄り付かなくなるし、国民の怒りを鎮められない。しかも、なるべく早急に何らかの目に見える「改善」を示さないと国にとっての悪影響が大きくなるだけとの判断から、今回の事件では普通よりも速やかに進める「スピード裁判」が行われた。
メディアはその一挙手一投足を追ったわけだが、取材が広範になればなるほど、インドの「あきれるような現実」が浮き彫りになった。例えばレイプに関する裁判では、女性の人権を無視した無茶苦茶な裁判がまかり通っていることが明らかになった。
今回の裁判を担当した裁判長は、2013年中にこの件以外に23件のレイプ事件を扱っている。そのうち有罪になった事件は今回の事件を含めて3件のみ。しかもその「無罪」の理由があり得ない。
例を挙げると、ある女性がレイプされて妊娠。DNA検査の結果、容疑者の男性が父親だと分かったが、女性が法廷で感情的になったために「疑わしきは罰せず」と無罪になった。他のケースでは、裁判の段階で被害者の女性が行方不明になったという理由で無罪……などなど。
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