本田圭佑が所属するCSKAモスクワは「世界で一番脱出が難しいクラブ」:臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(3/4 ページ)
今夏のACミランへの移籍が破談となった本田圭佑。2014年1月には4年契約でACミランに行くとみられていたのだが、どうやらこれも怪しくなってきたようだ。
移籍会見で「大変だった……」と号泣したブラジル人FW
ともあれ、本田の今夏移籍を“阻止”したCSKAは、ここまでシナリオ通りに流れを進めているといえるのかもしれない。「金銭的に余裕があるCSKAは戦力の切り売りを基本的にしない。選手の退団を認めるのはもうチームの役に立たないか、あるいは自分たちが完全に満足できるオファーが来た場合に限られる。本田も、もうすぐ契約が切れるからといって、まだ安心はできないと思う。何をやってくるか分からないからね、このクラブは……。このCSKAが代理人たちの間で『世界で一番脱出が難しいクラブ』と言われているのは、過去にあったいくつかの例が証明している」とは露サッカー事情に詳しい別の代理人だ。
CSKAには今夏までブラジル人FW、ワグネル・ラブ(現在は中国スーパーリーグ・山東魯能)というエースストライカーがいた。ラブは2004年6月にCSKAへ入団。メキメキと頭角を現し、欧州の強豪クラブから数多くのオファーが舞い込んだが、その度にCSKAはことごとく拒絶した。
2012年1月にはCSKAからCRフラメンゴ(ブラジル)に推定1000万ユーロ(約13億2000万円)の移籍金で完全移籍(結局、半年後にCSKAへ再復帰)したが、それまでの両クラブ間の交渉も当然のように難航。生まれ故郷の名門チームでのプレーを望んだラブから「僕の給料を減らして、その分を移籍金に上乗せしてほしい」と提案されたことでフラメンゴ側はなんとかCSKAの希望額を捻出し、獲得にこぎつけた。その想像を絶する苦労はラブがフラメンゴの入団会見で「とにかく大変だった……」と安堵とともに号泣したことからも察せられる。これまでCSKAでラブのように長期に渡って“幽閉”されたケースは「枚挙にいとまがない」(前出の代理人)そうだ。
本田側の代理人もCSKAの執拗な囲い込みには、それこそウンザリしているに違いない。しかし……。何だかんだいってもCSKAは本田残留を最終的にはあきらめなければならないだろう。今冬の「ロシア脱出」を固く心に決めている本田はミランにこだわらず、他の欧州クラブからのビッグオファーも待つつもりだからだ。
CSKAはCLで昨季の欧州王者バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)、マンチェスターシティ(イングランド)と同組。ロシア国内リーグはもちろん、このCLでも強豪クラブを相手に活躍し、上位進出の原動力となれば本田の株は今以上に高騰するだろう。すでに英メディアでは、プレミアリーグのアーセナルやリバプール、エバートンといった名門クラブが今冬の本田獲得に強い関心を示しているとも報じられている。
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