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JR北海道の問題はどこにあるのか。そして解決する方法はあるのか。杉山淳一の時事日想(1/6 ページ)

列車火災、脱線事故などを発端としたJR北海道の整備ミス問題は収束どころか拡大する一方だ。いま、JR北海道の鉄道を守るために誰が立ち上がるべきか。現場の職員だ。風当たりは強かろう。しかしこれを再生のチャンスとして改革を進めてほしい。

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 いきなり妙なところから話を始める。

 映画『風立ちぬ』を見た。兵器製造を礼賛しているとか、煙草を吸う場面が多いとか(関連記事)、本筋とは関係ない部分で取り沙汰された作品だ。大ヒットして観客が増えれば、それだけ多様な感想も生まれる。私はシンプルに、ヒコーキ好きの少年が、あの時代に生まれてしまったばかりに、兵器としての飛行機を作るしか夢をかなえる方法がなかった。気の毒だなと思った。誰もが真剣に生きていた時代でも不幸はある。諸行無常である。

 私が『風立ちぬ』を見ようとしたきっかけは、鉄道の描写が多いと聞いたからだ。そして期待通りに鉄道が活躍していた。8620形蒸気機関車、9600形蒸気機関車のほか、三等級制時代の木造客車、碓氷峠(うすいとうげ)のアプト式機関車、軽便鉄道の小さな蒸気機関車まで登場した。私は大いに満足したけれど、世間では蒸気機関車の煙より煙草の煙のほうが目立ってしまったとは残念である。

 ところで、劇中でひとつ気になる部分があった。連結器だ。主人公の堀越二郎が上京する場面で客車のデッキに座る。ある女性との出会いの場面だ。ここで客車の連結器が映る。それがかなり古いタイプだ。鎖のお化けのようなタイプで、鉄の輪を知恵の輪のごとく互いの鈎(かぎ)にひっかける。リンク式という。


『風立ちぬ』に出てきたリンク式連結器は確かこんな感じ。青い部分が連結器で、黒い部分が緩衝器
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