中国人はGCB、日本人は? 欲しいモノから見えてきた日中の消費スタイル:博報堂・吉川昌孝のデータで読み解く日本人(3/4 ページ)
あなたが欲しいモノ・サービスは何ですか? 日本人と中国人に聞いたところ、違いが浮き彫りに。また消費スタイルにも違いが分かってきました。それは……。
日本人は……KBS?
お待たせしました。中国の生活者がGCB(Gold、Child、Business)とするなら、日本人の消費特徴はなんでしょう。それは「KBS」です。K=計画的、B=物価に敏感、S=節約意識の高さ。具体的なモノ・サービスではなく、中国の研究員が注目した、日本人の消費の“性質”の頭文字です。
まず「K=計画的」。上海の研究員は「日本人は消費計画をすごく長い目で立てるんですね」と驚きながらコメントしてくれました。「(日本人は)みんな3カ月以上のスパンで消費の計画を立てているように感じるけれど、私たち中国人はだいたい単月でしか考えない」と。そしてそれは中国では「世事無常(何もかもすぐ変わる)」と感じるからだとも言っています。日本のビジネスパーソンが手帳を持っていることも不思議に感じるそうです。「中国人はあまり手帳を持たないんですよ」と教えてくれました。
続いての「B=物価に敏感」。「日本人は景気や物価の先行きに敏感に反応して消費の態度を決めているように感じる」(研究員)と。例えばこんな声がありました。
「アベノミクス効果で景気がよくなったような感じを受けて、自分もプチぜいたくしていいかなという気になる」(愛知県・女性44歳)、「景気の上昇が見受けられない。踊らされないように心がけている」(大阪府・男性62歳)
中国ではここ数年基本的に成長基調なのでGDPや景気を前提に買い物を控えたりはせず、身近なことに関心がある人が多いようです。一方の日本人は「失われた20年」を経験したので、経済の先行きに敏感な国民になってしまったのかもしれませんね。
そして最後の「S=節約意識の高さ」。「中国人はお金がなくなっても『何とかなる』と考えがちです。中国でも若者世代で『エビ族』といった節約志向の一群は出てきていますが、しかしその多くは、クーポンやネットショップで安く賢く買い物をする人たちであって、日本のように消費自体を引き締めるわけではない」(研究員)とのこと。日本人の節約意識は、私たちが思う以上に、前述の物価や景気に敏感なことと相まって、消費スタイルのひとつとして定着しているのかもしれません。
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