少子高齢化の切り札? 独身男を襲う「カニばさみ」の恐怖:窪田順生の時事日想(1/4 ページ)
厚労省の調査によると、独身女性の3人に1人は「専業主婦になりたい」だったが、独身男性の5人に1人は「専業主婦になってほしい」。今の若い男は甲斐性なしね、といった声が聞こえてきそうだが、男女間の経済感覚の“ギャップ”を解消しなければ、大衆は踊らないだろう。
窪田順生氏のプロフィール:
1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。
社会人になりたてのころ、銀行に就職した大学の同期たちとよく飲んでいた。
半沢直樹の『花のバブル組』よりもだいぶ遅れた「底の見えない不景気組」ということもあって、連れ立っていくのは安居酒屋ばかり。カネが尽きると、コンビニで缶ビールを買って、銀行の独身寮になだれこみ、朝になったら共同浴場で風呂に浸かって帰る……なんて日々を繰り返していた。
「カニばさみ」の話を聞いたのは、そんな時だった。
銀行員が働くお固い職場でも飲み会はある。当然、男と女がいるわけでそのままいい感じになってラブホへ……なんてことは学生のコンパだって珍しくない。が、そこから先が「大人の世界」というか、信じられないことが起こるんだ、と若手行員たちが興奮気味に教えてくれた。
いざ事に及ぼうとすると、女性側が「今日は大丈夫だから」と避妊具を使用しなくてもいいみたいなことを言い出す。冷静な判断力ができる状況ではないので、「そう?」なんて感じで行為が始まり、快楽に身を委ねてしまう。そして、いよいよもうダメだということで、腰を後ろへ引こうとすると、ウンともスンともいわない。見れば、グレーシー柔術さながらに、女性の両足がガッチリと胴回りにからみついているのだ。
感極まってのことだろうし、まあ、彼女も大丈夫だと言っていたし……とそのまま流れに身を任せてしまう男。しかし、実はちっとも大丈夫ではなく、数カ月後、めでたく2人は行内結婚として職場で祝福されることになるのだという。
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