注目されている「広告」にはワケがある――それは:仕事をしたら“広告のツボ”が見えてきた(前編)(3/8 ページ)
いま、世界ではどんな広告が注目されているのだろうか。広告事情に詳しい、河尻亨一さんは「世界最大級の広告祭『カンヌ』で受賞した作品をみると、ある傾向が見えてきた」という。その傾向とは……。
「ハイネケン」の広告に注目
土肥:どんなモノがあったのでしょうか?
河尻:その前に、ドイさんはアイティメディアに就職する際、面接をされたと思うのですが、どのようなことを聞かれ、どのように答えましたか?
土肥:うーん、もう7年ほど前の話なので、忘れちゃいましたね。たぶん「なぜ弊社を受けたのですか?」と聞かれ、「Web上でニュースを書いてみたいんです」といったことを答えたと思います。
河尻:面接の席では、ドイさんのように当たり障りのない答えをされる人が多いと思います。例えば、オランダのビール会社「ハイネケン(Heineken)」の広告(カンヌで「PR部門金賞」などを受賞)は、面接にちなんだものでした(参照リンク)。同社でも採用面接をするのですが、紋切り型の答えをする人が多いようですね。そこで、“ドッキリ”を行ったんですよ。
土肥:ドッキリ?
河尻:面接中に、面接官がいきなり倒れるとか。で、そのときに、面接に来ている人がどのような対応をするのか。人を呼びに行くのか、自分で介抱するのか、その場でオロオロするだけなのか――といったリアクションから「我が社にもっともふさわしい人材を選ぼう」と。
面接官が倒れるだけではなく、面接中に会社が火事になるドッキリもありました。面接に来た人は会社のオフィスから避難するのですが、外では消防隊がマットを広げています。飛び降りる人を受け止めようとしているのですが、なぜかメンバーが1人足りません。そこで、面接に来た人はどういった対応をするのか。手伝うのか、手伝わないのか、それとも違うことをするのか――。
すべてドッキリなのですが、その様子は録画されています。ハイネケンの関係者は評判がよかった3人の動画を見て、「この人と一緒に働きたい!」と思えば、その人に投票できるシステムなんですよね。
土肥:ほー。
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