なぜイマドキの20代は「新・ぶら下がり社員 or 新・モーレツ社員」になってしまうのか?:サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(3/3 ページ)
仕事と人生を丸で表すとして、あなたにとってその関係性は? ペンと紙を用意してそれぞれの丸を描いてみてください。あなたが描いた絵はコラムのどのタイプだったでしょうか……?
20歳代〜新・モーレツ世代が出現しているから、新・ぶら下がりも?
20歳代になると、そもそも仕事と人生という関係性を円で表せなくなる人たちが続出します。例えば、人生という円を描き、そこの中に小さく、仕事という円を描くという人がいます。仕事の円は、それこそ驚くほど小さい。
話を聞くと「人生と仕事を並列に考えるほど、仕事のサイズは大きくない。生きていくために仕事はするけれども、それだけのことで、もっと別のことなら、例えば、趣味や好きなことと人生の関係は整理できるかもしれないけれど、仕事はその対象ではない」というのです。図だけみると、それこそ50歳代の描く「人生の中に仕事が含まれている」という関係なのですが、中身はまったく異なるということです。そもそもオンとオフという感覚やプライベートという概念すらない。そういう意味で、かなり興味深いといってもいいでしょう。
一方で、同じ20歳代でもまったく別の円を描く人たちも現れます。彼らの描く円はなんと一つです。それは人生と仕事という円がピッタリと重なった状態を表しているといいます。彼らの言い分としては「仕事という感覚よりも、自分で何がしたいか、何ができるかということを考えている。それが人生だと思う。就活でも何ができますかと聞かれ続けたし、何をやりたいのかと考え続けてきた。だから、結果として仕事だけれども、でも、それと人生を区別できるのかと考えると、同じなのかなという気がする」となります。
50歳代のモーレツと呼ばれた世代の生き残りですら、人生とは仕事に捧げたようなものだという感覚とはいえ、すべて仕事ではない関係性です。しかし、新・モーレツ世代と呼んでもいい人たちが、イマドキの若手には潜んでいるのです。彼らは仕事と人生の区別すら必要ない、そう、40歳代や30歳代がオンオフやプライベートという言葉で、ある意味では頑張って区別してきた部分を「溶かして」しまった、のかもしれません。
働く意味を問うことで、仕事への入り口のハードルは上がった
かつて「働くのは当然」といわれていました。学校を卒業したら働く。選択肢がこれだけしかなかったというよりは、それが当然だったのです。
しかし、いつの間にか「働く意味」を問われる時代になっていました。イマドキの就活生たちは、それこそ懸命に働く意味を考えています。なぜなら、就活で何度も繰り返し聞かれるからです。お金のためだと言ってはどうやらダメらしい、卒業したら働くのって当然ですという答えもNGだ、興味があるからとか楽しそうだと思って……というのもバツ。
そうやって、答えの見つかりそうにない根源的な質問を突きつけて、働く入り口のハードルを上げた結果、新・ぶら下がり社員が生まれているかもしれない、という話は来週しますので、お楽しみに。
→「新・モーレツ社員が「ぶら下がる」時、上司はどうするべきなのか?」(参照記事)
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