嫌煙家が主張する「タバコ1箱700円」を阻む“霞ヶ関の論理”とは:窪田順生の時事日想(4/4 ページ)
たばこが値上がりをする。えっ、また? と思う人も多いだろうが、消費増税に合わせて値上げをする予定だ。一方、嫌煙家や厚労省は「1箱700円」を訴えているが、これはかなりハードルが高い。なぜなら“霞ヶ関の論理”が関係しているからだ。
官僚というのは意地が悪い
権力というのは人間を変えてしまう。ここまでならばよくある話だが、さらに驚くことが起きる。日本は破たん寸前だからまずは消費税を上げるべき、なんてまるで財務官僚の受け売りのようなことを言い始めたのである。総理になってからはさらに拍車がかかり、周囲が「選挙に負けるから止めてくれ」と言っても、消費税増税キャンペーンを続けた。
振り返れば、伏線はあった。前任者は元大物大蔵官僚の藤井裕久。しかも、就任早々、国会でハーバード出の経済通・林芳正自民党議員から、「乗数効果」なんて質問をされ、しどろもどろになっていた。菅さんはもともと経済や金融に強くない。
官僚というのは意地が悪い。事前に野党からどんな質問がくるかも察知できるし、模範解答だってつくれる。しかし、コントロールしたい大臣にはわざとそれをやらないで、恥をかかせる。その後にそっと助け舟を出すことで、「財務官僚なしには生きられない政治家」になる。これが俗に言う「財務省のポチ」という状態だ。
消費税増税のキーマンは、言うまでもなく麻生副総理・財務大臣だ。
「景気が回復しない限り消費税はあげない」と言って、その判断を12月にするという。
「みぞうゆう」の一件からこの人のことを学がないと思っている人が多いが、永田町では経済通でとおっている。そんな御仁ならば、財務官僚に恩を売られることもない、はずだ。
菅さんのように籠絡されていないことを祈りたい。
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