作家のエージェントって何? 『ドラゴン桜』『宇宙兄弟』の編集者に聞く:これからの働き方、新時代のリーダー(前編)(5/6 ページ)
漫画『ドラゴン桜』などヒット作を手掛けてきた編集者がいる。その名は、佐渡島庸平さん。昨年まで講談社で働いていたが、エージェント集団「コルク」を立ち上げた。聞き慣れない「作家のエージェント」とはどんな仕事なのか。本人に直撃した。
読み継がれていくシステム
土肥:佐渡島さんは別のインタビューで「作品がずっと読み継がれていくシステムをつくっていきたい」と話されています。これはどういう意味でしょうか。
佐渡島:出版社の場合、作品を雑誌に掲載して、単行本にして終わり。10年後、20年後まで作品を売り続けるシステムがないんですよ。多くの人は「昔の本は売れないよ」と思われるでしょう。でも手塚治虫さんの作品は、いまでも売れ続けている。なぜか?
もちろん作品が面白いということが前提にありますが、プロダクションが付いていることも大きい。大手出版社が「もう○○という作品の本は出さない」と判断しても、小さな出版社は「出したい」と思うかもしれません。そうした売り方をしていれば、10年後、20年後でも売り続けることができるんですよね。
あと国内だけではなく、海外に展開することも大切になってくるのではないでしょうか。
土肥:「日本のアニメが海外でウケている」といったことを耳にすることがありますが、本当にそうなのでしょうか。例えば、米国の書店に行っても、日本の漫画を目にすることはほとんどありません。日本には面白い漫画がたくさんあるのに、なぜ海外では売れないのでしょうか。
佐渡島:「この漫画は面白い。だから海外で売れる」と思っていても、仕組みが整っていないと、なかなか売れません。漫画の場合、巻数が多いですよね。日本では書店員さんがこまめに注文してくれているので、“歯抜け状態”にならずに本が並んでいる。
一方の米国は書店数が少なく、散らばっています。本は買い切りだったり、委託だったり、いろんな販売制度があるんですよ。また書店員が漫画を読む習慣がないので、本が“歯抜け状態”になる。つまり、全巻そろっていないと読者は困る……ということを知らないんですよね。
土肥:ということは、米国の漫画はどの巻からでも読める?
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